もしもJAがなくなればどうなるか
最後に、もしもJAがなくなったらどうなるのかについて考えてみたいと思います。
当然、真っ先に困るのは農家です。日本の農家の多くは小規模経営なので、各自が農業資材や機械を直接仕入れたり、全国各地へ販売活動を行ったりすることは困難です。だからこそJAは、それらの業務を販売価格の数%程度で代行することで農家を支えています。これらは利益を最優先する民間企業では、採算が取りづらいので担うことが難しいでしょう。
もちろん、最近では民間企業へ直接出荷したり、インターネット販売や契約栽培を行ったりする農家も増えています。各農家が販路を自由に選べることは望ましいことです。しかし、それはJAという選択肢があるから成り立っている面があります。
消費者も無関係ではいられない
一方、消費者も無関係ではありません。農産物を市場やスーパーへ安定的に供給する役割を担っているJAがなくなれば、自宅近くのスーパーで食品を確保することが難しくなるでしょう。また、JAは品質保持や残留農薬検査など見えにくい部分でも重要な役割を果たしているため、農産物の品質や安全性が守られなくなるかもしれません。さらにいえば、価格が安くなるどころか、物流コストや調達コストの増加によって、かえって高くなる品目も出てくるでしょう。
また、先に述べたように、地方の農村においては、唯一の金融機関やガソリンスタンド、スーパーや直売所、農業倉庫、農機の整備拠点などのインフラをJAが担っていることが少なくありません。これらは利益だけを見ると成立しませんが、JAは総合事業として相互に支え合いながら維持しています。もし採算だけを重視すれば、人口の少ない地域から順にこうした施設が姿を消すでしょう。
持続可能な農業環境があってこそ、私たちは毎日安定して食料を手にすることができます。JAはその仕組みを支える大きな基盤であるという事実が少しでも広く知られることを強く願っています。


