「類は友を呼ぶ」のは本当だった
④ 人は自分と似た人を高く評価する傾向がある
人は自分と属性や価値観が似ている人に魅力を感じ、高く評価する傾向があります。これを「類似性―魅力仮説(Similarity-Attraction Hypothesis)」または「類似性バイアス」といいます。
出身地や出身校が同じというだけで親近感が湧いた経験を持つ人は多いでしょう。組織においても、米国のトップ企業を対象にした研究で、社長は自分と同じ属性の人を取締役に選びやすいことが示されています。中国の上場企業1180社の追跡研究でも、会長と類似したバックグラウンドを持つ人が取締役に選ばれやすいことが確認されています。
属性だけでなく、性格・考え方・価値観といった心理的な類似性でも同様の傾向があります。45本の論文・49件の研究を分析したメタアナリシスでも、この仮説が職場に確かに存在し、従業員の行動の基盤となっていることが示されています。
つまり、経営層や上層部にパワハラ気質の高い人がいるほど、類似した気質の人を採用・昇進させてしまう循環が生じます。そしてそれが続くと、「組織文化」として定着し、修正することが極めて難しくなるのです。
パワハラする人が活躍する条件
経営層がパワハラ行為者を評価することは、その人に「活躍の場」を与えることを意味します。破壊的なリーダーがどのような条件下で活躍してしまうかを示したのが、「毒の三角形(toxic triangle)」という概念です。
この三角形は、①破壊的なリーダー(権力欲が強く、カリスマ性と攻撃性を持つ)、②影響されやすいフォロワー(自己評価が低く上司に同調するタイプ、または野心があって上司と利害が一致する共謀タイプ)、③助長的な職場環境(ハラスメントを容認・奨励する経営層や組織文化)の3つが揃うことで機能します。
やりたい放題やろうとする人がいても、周囲がすぐに止めれば被害は広がりません。しかし、組織がその人を評価し昇進させてしまうと、「助長的な職場環境」の条件を満たしてしまいます。
フォロワーには2種類あります。同調者タイプは、パワハラを受けていても上司についていこうとするか、ひたすら我慢します。共謀者タイプは、上司がハラスメント行為者として訴えられたとき「被害者の方に非がある」と強く擁護します。いずれも加害者の行為を支える役割を果たします。
破壊的な上司は、誰からも反発がないことを「自分は部下に信頼されている」と解釈し、さらに同じやり方を強化していきます。この悪循環を断ち切るには、経営層がリーダーの「仕事の成果」と「対人行動」を切り離して評価し、パワハラ的言動には明確にNOを突きつけられるかどうかが鍵となります。

