能力がある人ほど「見逃し」が起きる
なぜ「あの人は仕事ができるから」という一言で、ハラスメント行為が見過ごされてしまうのでしょうか。
2024年から2025年にかけて、複数の大物芸能人が性加害報道をきっかけに引退・活動休止を表明しました。
報道された内容は事実であれば深刻なものでしたが、擁護する声も相当数あり、その多くが「これまでの実績や仕事上の能力の高さ」に言及するものでした。
サッカー界でも、2024年に性暴力容疑で逮捕・不起訴となった選手が2026年ワールドカップの日本代表に選出されるという事案が発生しました。監督は性加害を「ミス」と表現し、国際的に大きな批判を受けました。
オンライン署名サイトの「Change.org」では、日本代表招集の撤回を求める署名に8000人以上の賛同者が集まり、大きな論争を引き起こしました。
このように、「能力がある」という評価が、有害な行動への許容度を高めてしまうことが研究によっても示されています。職場のリーダーを対象にした研究でも、有能なリーダーほど不適切な行動が見逃されやすく、成果を出すリーダーは他者を尊重しない自己愛性や攻撃性があっても昇進しやすいことが確認されています。
また、同じ攻撃的行動でも、業績が高い上司の言動は「厳しい指導」と解釈され、業績が低い上司の言動は単なる「加害行為」と認識されやすいこともわかっています。
これは、選挙でも起きます。モラルに問題があっても「実行力がある」と評価されると有害性が見落とされ、当選してしまったり、支持者から多額の金銭を集めたりすることで、さらなる破壊的な行動を繰り返す要因をつくってしまう現象が、国内外で繰り返されているのです。


