国の試算条件に抱く違和感
この中でも注目したいのは、運賃・料金面と東海道新幹線の線路容量の面だ。現状、小浜ルートと米原ルートは下記を前提に試算されている。
▼新大阪―金沢間の運賃・料金比較(2016年検討時の価格)
・小浜ルート8740円(内訳:指定席特急料金3990円+運賃4750円)
・米原ルート1万1190円〔内訳:指定席特急料金北陸3110円+東海道3000円+運賃5080円(※)〕
※京都―敦賀間を含む運賃は、経路に関わらずより短い湖西線経由の営業キロで計算する「経路特定制度」が存在するが、これは適用されずに330円ほど割高な運賃で試算されている。
※新幹線において、JR2社間での直通列車で指定席料金530円を二重取りするケースは存在しないが、国交省試算では二重取りで計算されている。
▼東海道新幹線ダイヤの逼迫状況
1時間に最大20本の容量だが、新大阪―米原間では、すでにのぞみ最大13本、ひかり2本、こだま1本、計16本が組まれ、合間を縫って大阪府内にある鳥飼車両基地への回送列車を入れているため余裕がない。
という内容だ。特に運賃・料金面では米原ルートは不当に不利な条件で試算されていることがわかる。だが、料金の高さも線路容量も克服できる方法はある。
問題を解決した都営三田線の前例
米原ルートの実現可能性を考える場合、「運賃・料金の壁」「東海道新幹線のダイヤ逼迫」の2点に絞って課題克服の議論をすべきだ。
まず、運賃・料金が割高で、しかも新大阪―米原間はJR東海の収入となり、JR西日本にとって損である問題だ。
実は都内には同じような乗り入れ問題を解決した前例がある。東京メトロ南北線の線路を使用して乗り入れる、都営三田線の目黒―白金高輪間だ。通常の直通運転方式では、目黒―白金高輪間は東京メトロの運賃収入・運行、白金高輪より先は都営地下鉄の運賃収入・運行といった具合に分けられ、初乗り運賃は二重取りになる。
例えば目黒―三田間であれば178円+178円で356円ということになる(もしそうなっていたとしても厳密には乗継割引で290円になっただろう)。
そこで都営地下鉄は鉄道事業免許取得時に、東京メトロに線路使用料を支払い、線路を借りて自社の列車を運行する「第2種鉄道事業免許」による鉄道事業とした。こうすると目黒―既存の都営三田線内の利用でも運賃を通算でき、目黒―三田間は178円になったのだ。事業者が1つにまとまったことによる効果である。

