不動産を手放さない高級官僚の矛盾
不動産政策も同じパターンを繰り返している。就任直後から複数物件保有者への課税強化・融資規制強化に乗り出したが、ソウルのマンション平均価格は就任からわずか4カ月で過去最高値を更新した。規制のたびに価格が上がるという「お決まりのパターン」が今回も繰り返された。
この失敗には構造的な理由がある。規制を打つたびに市場が「希少性の確認」として反応し、価格が上がる。複数物件保有者への課税強化は家主が税負担を家賃に転嫁することで、最も打撃を受けるのは守ろうとした「持てない下層」だ。
さらに皮肉なのは、「不動産共和国の解体」を叫んだ政権の高位公務員のうち約3割が複数の不動産を所有していたことだ。「株に移せ」と国民に呼びかけた当人たちが不動産を手放していなかったのである。
※AFP「韓国の中央省庁の高官3人に1人が“2軒以上”の住宅保有…強まる不動産偏重の実態」(2025年3月28日)
「ヘル朝鮮」を生み出す「不動産階級制」は、「打倒しようとしている政党の支持者の多くが、すでにその階級制の上位に入っているか、入ろうとしているから」こそ壊れない。これが李在明政権の不動産政策が失敗し続ける本当の理由だ。
政治の「暴走」に国民がNOを突き付けた
地方選の「苦い勝利」は、李在明政権に3つの問いを突きつけた。
第一に、「司法の武器化」を続ければ次の選挙でさらなる代償を払うという警告だ。光州・全羅道という与党の牙城でさえ「セルフ免罪符」への反対が賛成を上回った事実は、政権の中核支持層からも黄色信号が灯っていることを意味する。
第二に、保守の「底力」が消えていないという現実だ。尹錫悦前大統領の弾劾で完膚なきまでに叩きのめされたはずの保守が、朴槿恵という象徴の復帰と20〜30代男性という新しい燃料を得て再編されつつある。「圧勝できるはずの選挙」で圧勝できなかった理由はここにある。
第三に、不動産と株式という二正面での経済政策の失敗が、政権の信頼基盤を侵食しているという問題だ。
最も注目すべきは、この「苦い勝利」が民主主義の自浄作用として機能している点だ。「司法の武器化」という民主主義の根幹への侵食に対し、韓国の有権者は票という形で「それは違う」と示した。怒りはデモではなく投票所で表現された。
今回の韓国地方選は「与党圧勝」ではなく、「次なる混沌の始まり」と見るべきだろう。特に、三権分立をないがしろにしようとする現職大統領の姿は、今後、国民からさらに強い反発を生む可能性が高い。
政権が司法を武器化しようとするとき、民主主義社会はそれに抵抗する力を持っているかどうか。これが、韓国国民の次なる試練である。

