自分の罪を消すための「セルフ免罪符」

② 大統領による特検の私物化

地方選まで約1カ月前の4月30日、李大統領が被告人である事件への公訴取消権を「特別検察官」に付与する法案が発議された。

この法案の最大の問題は、特検の任命権が大統領にあることだ。野党は「李大統領が自分で任命する特検によって自分の罪を消そうとするもの」と批判し、「セルフ免罪符のために刑事司法システムを完全に崩壊させる悪法」と非難した。

※朝鮮日報「大統領・李在明が被告人・李在明の公訴を取り消す特別検察官を任命、与党は今月上旬の法案処理目指す」(2026年5月2日)

③ 大統領による人事権の掌握

捜査・起訴機関の人事を政権が掌握することで、法律の条文を変えずとも実質的な司法統制が可能になる。制度の再編と人事権の掌握を組み合わせた、より巧妙な「武器化」の手法である。

李在明氏は現在、8件の刑事訴追を抱えた被告人でもある。この司法改革の骨格は、文在寅ムン・ジェイン政権で曺国チョ・グク氏が推進したものと同じであるが、決定的な違いもある。曺国は「検察共和国の解体」という左派イデオロギーによるものだったが、李大統領は「自分の訴追リスクの排除」という個人的な動機による。

20~30代男性が保守化しているワケ

いわば、この「司法の私物化案」への有権者の拒絶反応は、世論調査に鮮明に表れた。全地域で反対が賛成を上回り、与党の票田である光州・全羅道でさえ反対39%が賛成35%を上回った。党内基盤の中心からも「やりすぎだ」という信号が出ていたにもかかわらず、政権は推進を続けた。

※朝鮮日報「李在明大統領の刑事事件8件全て公訴取り消し『特別検察官法』に反対44%・賛成27% 韓国世論調査」(2026年5月23日)

三権分立という民主主義の根幹への侵食が地方選終盤の失速をもたらした最大の要因であり、「苦い勝利」の本質的な理由である。

「韓国の保守支持層は年配者」というのがこれまでの常識だったが、韓国では若年層の保守化が強まっている。ただし、若者全体が保守化しているのではなく、20〜30代男性に限って保守化が起こっている。

2025年の大統領選で李在明の当選を支えた中心は40〜50代だった。20〜30代男性の保守志向が突出し、同世代の女性との差が際立った。

※Newsweek「韓国大統領選が浮き彫りにした『男女分断』...若い女性票は李在明氏に」(2025年6月6日)

なぜ、20代と30代男性に保守化が起こっているのだろうか。