糖質のかたまりによって血糖値が乱高下

実は、頭を使ったときに空腹を感じるのは、心理的なストレスが原因であることがほとんどです。頭を働かせると、脳の「視床下部ししょうかぶ」という部位の「摂食中枢」が刺激されることがあります。

摂食中枢は「お腹がすいた」という信号を送る役割を担っているので、空腹感を覚えますが、脳を働かせて消費する程度のブドウ糖は、食品で補わなくても体内の貯蔵多糖(グリコーゲン)でまかなえてしまいます。

このとき、チョコレートやあめ玉を口にすると、身体にしみ渡るような幸福感と満足感を得られるかもしれませんが、こうした糖質のかたまりをポンと食べると血糖値が急激に上がってしまいます。すると今度は、インスリンというホルモン物質が一気に放出され、血糖値が急激に下降します。

こうした短期間での血糖値の乱高下を「血糖スパイク」といいますが、血糖スパイクが起きると集中力が低下したり、眠気をもよおしたり、脳の働きにとって逆効果な状態に陥ることがあります。

聴診器と砂糖
写真=iStock.com/Renata Hamuda
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脳にとって危険なだけで一利なし

血糖スパイクを何度も起こしていると、糖尿病のリスクも高まりますし、血糖値の乱高下で糖を消費するだけでなく、体内ではリジンなどの必須アミノ酸も無駄に使ってしまいます。つまり、「脳のために糖質をとる」というのは危険なうえに一利なしなのです。

では、集中力が落ちたときに何を食べれば良いのでしょうか。

私たちの実験報告に、「糖質だけをとるよりも、糖質、脂質、タンパク質、繊維質をバランスよくとるほうが良い」というものがあります。実験は東北大学の学生を対象に、水だけ、砂糖水だけ、栄養バランスのとれた流動食と3通りの朝食をとったあとに記憶力テストを行い、「集中力」「疲労感」「脳の働き」を測定するという方法で実施されました。