意外な真実や法則性が潜む県民性データ
われわれは皆どこかの地域の出身である以上、日本国内の県民性や地域差のデータにはいやでも無関心ではいられない。ましてやそこに意外な真実や法則性が潜んでいると知ることができればなおさらである。
本連載では定期的にこうした「地域性あれこれシリーズ」を取り上げてきた。前回は「老舗企業の古さと現代企業の威勢のよさの地域差」に触れ、大きな反響を得たが、他にも顕著な地域差が出た調査がある。筆者のアンテナに引っ掛かったオモシロ統計を紹介しよう。
カットバン? バンドエイド? ばんそうこう?
「ばんそうこう」の呼び方が地方によって大きく異なる点が話題となることが多い。それを調べた阿蘇製薬(本社:熊本県菊池郡)のWEBサイトにもとづき都道府県別の呼称分布をマップとして表した(図表1)。
図表1を見ると、名称は地域によって大きく3つに色分けされている(各都道府県で一番多い呼び方をマップ化)。すなわち、老舗ブランドの「カットバン」(商標名)、商品CMでひろがった米国発の「バンドエイド」(同)、コンビニなどで復活した一般名称の「ばんそうこう」である。
地域的には一般名称の「ばんそうこう」が関東・中部・北陸と日本の中央部の広い範囲を占め、「バンドエイド」が関西(そして関東の中で東京)を占め、そして老舗ブランドの「カットバン」がその他地域に広く分布している。
「バンドエイド」「カットバン」ほどではないが、「サビオ」(広島、和歌山)や「リバテープ」(大分、宮崎、熊本、沖縄)などの商品名も一部地域では優勢である。
こうしたものの呼び方の分布は基本的には「中心部に新しい言葉が残り、周辺部(地方)へ行くほど古い言葉が残る」という方言周圏論で説明できる側面が大きいと思われる。
方言周圏論の事例として最も有名なのは民俗学者の柳田国男が挙げたものである。近畿地方を中心とする「デデムシ」が最も新しく、その外側に「マイマイ」、さらに外側に「カタツムリ」、最も遠い東北や九州などに最も古い「ツブリ」が分布しているというものだ。
いわゆる「アホ・バカ分布」についても新しい言葉のアホが京都を中心に広がり、古い言葉のバカが関東・東北・九州に残るという事例が有名である。
「ばんそうこう」は戦後普及した新商品なのでこの法則がそのまま当てはまるとは限らないが、一応、各商品の販売年次を追うと以下である。
1948年 救急絆創膏(ニチバン)
1959年 バンドエイド
1960年 リバテープ
1961年 カットバン
1963年 サビオ
後から販売されたカットバンのほうが地方に残っているのは法則通りではないが、各商品が全国で普及した時期はこの順番通りではないだろうし、テレビでの商品CMがどこで流されたのかも考慮しなければ真相はうかがえないのかもしれない。

