※本稿は、佐渡島庸平『編集者のフィードバック』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
感想は作家との「コミュニケーション」
感想は、本来とても個人的で主観的なものだ。何をどう感じるかは人それぞれで、そこに正解はない。僕は読書会をやっているが、そこでは誤読大歓迎。誤読をきっかけに会話が盛り上がることも多い。
しかし、編集者として、感想を言う時は目的がある。感想を通じた作家との「コミュニケーション」だ。
「面白い」や「良かった」だけでは、創作を前に進める力にはなりにくい。
感想は、作家に違う視点を差し出す鏡であり、売上を上げるという目的のためのフィードバックでもある。
そもそも僕は、作家の原稿が上がってきたら、どんな原稿も「面白い」という前提に立って読もうとする。
完成した原稿には、作家の熱意が詰まっている。なぜ、それだけの熱意を作家は持てたのか。作家は、何十時間も、その原稿に費やしたのだ。もしも、街中で行列している人がいたら、何にそこまで熱狂しているのだろうと興味を持つのと同じだ。完成している原稿には、作家の熱がある。
その熱を読み解けると、どんな原稿も面白い。
そして、その面白さを、多くの人に伝わる表現方法に改善することができれば、ヒットする。作家が自分で描き直したくなるように、アドバイスではなくて、感想を言う。原稿を読むとは、作家の熱を読み取り、それを多くの人に届けようとする行為だ。
雑談に見える僕の感想は、実は次の4つしか言っていない。この4つを、言葉を変えたり、組み合わせを変えたりして、作家が腑に落ちるまで話しているだけだ。
「要約」「印象」「意図」「マーケット」。
まずは、この順番で感想を組み立てると、伝えるべき内容が自然と整理され、打ち合わせの軸がぶれにくくなる。型として定着すれば、自分の思考の偏りに気づくチェックリストにもなる。
本稿では、そのうちの「印象」について、詳しく話していく。

