夕張市の「攻めの廃線」は成功? 失敗?
この提案に対し、北海道の鈴木直道知事は4月17日に行われた定例記者会見の場で「上下分離ありきの議論は課題が多く、容易ではない」「経営自立に向けて、JRグループ全体での収入確保など、経営全体の問題の中で幅広く考えていかないといけない」と発言した。
現在2期目を務める鈴木直道知事は、2008年に東京都庁から夕張市に出向し、その後30歳の若さで市長に就任。一時は「自治体再建のヒーロー」ともてはやされ、2019年に「稼ぐ道政」を公約に掲げ北海道知事に初当選した。
しかし、夕張市長時代にはJR石勝線夕張支線の攻めの廃線を実施したばかりか、市が所有していた観光4施設を格安で中国系資本の企業に売却したが、その後、4施設の運営会社は倒産。観光を基幹産業とする夕張市の経済が崩壊している。
石勝線夕張支線の廃止についても、当初はバスのネットワークにより持続可能な交通体系を再構築するという話であったが、現在までにバスドライバー不足のため高速バスを含めて夕張市内から札幌方面を直接結ぶバスはすべて廃止されて、路線バスは新夕張駅から旧夕張駅方面を結ぶ路線が残るのみだ。
廃線された距離は東京―名古屋間に迫る
近年、バスドライバー不足に加えて、トラックドライバー不足も深刻化し、鉄道貨物が見直されようとしている中、鉄道ネットワークの分断によって北海道の豊富な農水産物の首都圏方面への輸送が困難になるという問題も表面化しつつある。実際、北海道のタマネギやジャガイモの多くが鉄道貨物により首都圏方面に出荷されていることは広く知られている。
鉄道の上下分離は、広域自治体である都道府県による財政支出が重要な条件になるが、北海道庁は、鈴木知事の就任以降、鉄道維持のための積極的な支援をしようとはせず、北海道の鉄道ネットワークの破壊を続けている。
2019年以降、冒頭で紹介した「赤線区」が次々と廃止され、その総延長は東海道新幹線の東京―名古屋間(実キロ342.0km)に迫る311.5kmに達した。
こうした北海道の鉄道ネットワークの分断については、すでに貨物輸送に影響が出始めている。

