豪雨で農産物や乳製品の輸送力が激減

2024年8月31日に北海道を襲った豪雨で、札幌圏と帯広・釧路地方を結ぶJR石勝線が4日間にわたって寸断された際には、特急列車の代行バスが運行されなかったほか、貨物列車のトラック代行輸送もほとんど行うことができなかった。この時期、帯広貨物駅や釧路貨物駅からの発送貨物は首都圏方面への農産物や乳製品が多い。

札幌と十勝地方を結ぶ石勝線
写真=写真AC
札幌と十勝地方を結ぶ石勝線

この時、筆者はJR貨物広報室に取材を行っているが、1日5往復の貨物列車が設定されているなか、4日間でトラック代行輸送できたものは1往復分にも満たない量であったという。背景にはバスやトラックのドライバー不足がある。

こうしたことから、2024年に廃止された根室本線の富良野―新得間を廃止せず、特急列車や貨物列車が迂回できるルートとして整備しておけば、今回のような混乱は起こらなかったのではないかという声も聞かれる。

輸送障害が起きた場合、北海道では…

近年、国内の鉄道貨物を取り巻く状況としては、「輸送障害時の迂回輸送対応力強化」という言葉がよく聞かれるようになった。

2011年の東日本大震災の発生時には、福島県内での燃料不足に対応するため、タンクローリー換算で995台分の石油が神奈川県の根岸駅から福島県の郡山駅に輸送された。この時、東北本線が被災していたことから、普段は貨物列車の走らない磐越西線を経由している。

※国土交通省 東北運輸局「よみがえれ!みちのくの鉄道~東日本大震災からの復興の軌跡」第9章 JR貨物

JR貨物でも輸送障害時の対策を強化するべく、2026年3月ダイヤ改正からは、東北本線の寸断時に備えて、通常は東北本線で使用している電気機関車を上越線から日本海縦貫線(信越本線、羽越本線、奥羽本線などの総称)で走行が可能となるような対策を行った。

※JR貨物プレスリリース「2026年3月時刻改正 新しい貨物鉄道輸送サービスのご案内

しかし、一方の北海道では、2024年夏の石勝線の突発的な災害で、貨物列車のトラック代行輸送がほとんどできなかった現実があるにもかかわらず、JR貨物や北海道庁などの関連団体で構成される検討会では、こうした災害発生時には、トラックおよび内航海運による代行輸送体制を速やかに立ち上げるための課題を整理し対応する方針だという。

※JR貨物プレスリリース「『北海道地区(室蘭線)における鉄道物流の災害による 輸送障害に対するBCP策定に向けた官民一体の検討会』の概要について