取材に答えようとしない知事と道庁幹部
筆者は2022年、鈴木知事に対して並行在来線問題と夕張市の現状などについての考えを聞きたいと道知事室秘書課に取材を申し込んだが、対応窓口とされた道政相談センターの西澤正所長(当時)から後日「鈴木知事は夕張市長時代の件はすでに関与する立場にない」「鈴木知事はあらゆる事実確認にも応じない」と回答があった。
しかもこのとき、知事室秘書課が最初に窓口としてきたのは道政相談センターの苦情処理担当者だった。「その対応は不誠実ではないか」と苦言を呈したところ、西澤所長に担当が変更となった。
さらに、翌2023年には並行在来線対策協議会の座長を務めた柏木文彦元道交通企画監への電話取材も試みている。柏木氏は、2022年3月いっぱいで北海道庁を定年退職し、当時は公益財団法人の常務理事を務めていた。
柏木氏に対し筆者は、「北海道の交通政策を決定する立場にあった柏木氏は、どのようなポリシーのもとに議論を主導したのか」という問いを投げかけたが、柏木氏は「私はすでに関与する立場にない」として、ノーコメントを貫いた。
※東洋経済オンライン「北海道新幹線『並行在来線』バス転換協議の泥沼化 地元住民は不信感、日に日に増す道庁批判の声」
JR北海道が抱える「赤字問題」の本質
1987年の国鉄分割民営化によって誕生したJRグループは、国鉄から引き継いだ全路線を維持できるように制度設計された会社であり、これはJR北海道も例外ではなかった。
JR北海道は発足当初より例年約500億円の赤字が見込まれるとされたことから、当時の運輸省(現国土交通省)は、当時の長期金利7.3%から逆算した6822億円を経営安定基金として設け、この運用益約498億円で赤字の穴埋めをするというスキームが組まれた。
しかし、バブル経済が崩壊した1990年代半ば以降、国の低金利政策によってこの経営安定基金の運用益が急激に減少したことがJR北海道の経営問題の本質である。

