いま増加中の「高額契約を誘う手口」

屋根の訪問販売に対する注意喚起の報道が増えたからか、悪徳訪問販売の手口に変化が生まれています。そのひとつが、小さな工事を入口にして、最終的に高額な屋根工事や外装工事につなげる、というものです。

具体的な手口はこうです。最初に小さな工事をして接点をつくり、「親切で、困ったときにすぐに来てくれる業者」という印象を与えます。そのうえで「屋根が劣化しているので直しましょう」「外壁が壊れていますから、リフォームしたほうがいいですよ」と、親身な様子で徐々に大きな工事を勧めてきます。

そして最終的に「屋根が大変なことになっています」と、高額な工事の提案を持ちかけてくるのです。

さらに、次のようなトークを畳みかけるケースも見られます。

「屋根工事も外壁塗装も足場を組む必要があります。そのたびに足場工事の料金がかかりますから、一度にリフォームしたほうがお得ですよ」

そう言って割安感をアピールしながら、長期ローンを組むような高額契約を迫るわけです。この場合、最初の工事が少額でも、屋根全体のリフォームや外壁塗装、太陽光発電や蓄電池の設置、足場の工事などを組み合わせ、総額で1000万円近い契約になることもあります。

また、消費者心理につけ込んだ「火災保険を使えば自己負担なく修理できますよ」というトークにも要注意です。

物価高騰のなか「少しでも節約したい」という気持ちを利用した営業トークですが、保険は必ずしも使えるわけではなく、期待していた工事ができないこともあります。火災保険が適用されるのは自然災害による損害に限られ、経年劣化は対象外だからです。自治体や消費生活センターも、屋根工事の保険金利用をうたう勧誘について注意を促しています。

「弱者」を狙う悪徳業者

こうした悪徳業者から特に狙われやすいのは、インターネットやニュースなどで最新情報に触れる機会が少ない高齢者です。

以前、埼玉県富士見市で、認知症の高齢姉妹が16社のリフォーム業者と契約し、繰り返し不要な工事を施され、3年間で5000万円以上の高額な工事代金を支払わされていたという事件がありました(注1)

前川祐介『いちばんよくわかる 屋根の教科書』(クロスメディア・パブリッシング)
前川祐介『いちばんよくわかる 屋根の教科書』(クロスメディア・パブリッシング)

調査した建築士によると「床下の換気扇が20~30個も付けられていた。通常であれば、3個あれば十分。他の工事も不必要なものがほとんどで、市場価格の10倍以上の値段で行われており、悪質である」と話しています。

姉妹を狙った悪徳業者のなかには、11日間で5回、計673万円分の「シロアリ駆除」や「床下調湿」などの契約を交わした業者もありました。

姉妹は4000万円あった貯金を使い果たし、4社の信販会社を通じて、工事費700万円分のローン契約を交わしたといいます。その後、ローンの支払いが滞り、信販会社が姉妹の自宅を競売にかけましたが、富士見市によって競売は中止されました。

「どうしていいかわからない」と心配になった場合は、決して1人で悩まず、公的機関や家族、親しい友人など、信頼できる相手に相談しましょう。

注1:国土交通省「悪質リフォーム対策検討委員会」内、第1回悪質リフォーム対策検討委員会資料(7月20日開催)、資料5

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