陰鬱な時代を吹き飛ばしたアイドル・聖子

「70年代は陰鬱で、80年代は明朗」――と書けば、単純過ぎて粗雑な二項対立に聞こえるかもしれないが、当時リアルタイムで生きていた者として、「陰鬱→明朗」という時代の変化は、目の前で実際に、確実に起きた変化だった。

少し大げさにいえば、80年になった瞬間、モノクロームからパステル色の総天然色に、景色がガラッと変わった感覚があった。そして、そんな景色のど真ん中に、松田聖子がいた。

とにかくキュートで、カラフルで、ドライで、ソフィスティケートされていて、長髪の男女が四畳半で息を潜めているような、70年代の陰気な空気を吹き飛ばす存在として80年、それも「80年度」が始まる4月1日に『裸足の季節』でデビューする。