サイゼの優位は変わらないが…
オリーブの丘がサイゼリヤを脅かしそうな理由は、もちろんこれだけではない。
ゼンショーホールディングスは、オリーブの丘に加えてイタリアン業界では「ジョリーパスタ」を324店舗展開している。また、イタリアンではないがファミレス「ココス」は506店舗ある。
すかいらーくホールディングスが「ガスト→資さんうどん」などの業態転換を進め、客の食い合いを無くして効率的に売り上げを伸ばしている。これと同様に、ゼンショーが傘下のチェーン店を「オリーブの丘化」すれば、店舗網は瞬く間に広がるはずだ。
そもそも現在営業しているオリーブの丘も、2007年にゼンショーホールディングスが買収したサンデーサンのブランド「フラカッソ」から転換した店舗がいくつかある。呼び出し機や配膳ロボットの導入に加え一部店舗では「特急レーン」も活用するなどDXを徹底しており、少人数で店舗を運営するノウハウも蓄積しており、店舗網を増やすという点では、サイゼリヤより優位性があるといる。
価格面においてはさすがにサイゼリヤが圧倒している。サイゼ最強の看板メニュー「ミラノ風ドリア」が300円(税込み、以下同)なのに対し、明らかに意識したであろうオリーブの丘の「ボローニャドリア」は539円。サイゼ「ほうれん草のソテー」が200円で、オリーブの丘「ほうれん草のガーリックバター」は319円。概ね100~200円ほど、オリーブの丘の方が高い。
「すき家」のようになれるか
そんな中で思い浮かぶのが、牛丼チェーンの「すき家」だ。米価や円安による輸入価格の高騰に各社があえぐ中、すき家は値下げを発表して波紋を呼んだ。
値下げといっても10~40円程度なので、ゼンショーが本気を出しても現状でサイゼとオリーブの丘との間にある100~200円ほどの価格差を縮める可能性はほとんどない。
だが、日本で最大の飲食チェーンというスケールメリット・体力はあなどれない。サイゼがさらなるコスト高に耐えかね、どこかのタイミングで価格が拮抗し始める事態はあるかもしれない。となると一気に出店攻勢へとゼンショーホールディングスがアクセルを踏んで業界地図が一変する未来も、あり得なくはない。
思い起こせば牛丼業界では、“御三家”のうち最後発だったすき家が今や1位に鎮座している。同じように、オリーブの丘もいつかサイゼリヤを超える日が来るのか。少なくともモーニングという局地戦ではバラエティ豊かなオリーブの丘に軍配が上がっている。カギを握るのは、サイゼリヤが価格を追求する中で失った面白みを、オリーブの丘が持ち続けられるかだろう。

