知的好奇心をくすぐる「鉄道遺産」
一見するとスタイリッシュなアートにしか見えない装飾は、よく見ると、鉄道にまつわるものだ。枕木やダイヤグラム、車両のプレート、さらには電線を支える絶縁体の「がいし」までアートとして昇華している。
なにより筆者が「これは!」と思ったのが、客室のドアの取っ手。よく見ると車両のブレーキハンドルのような形状をしているではないか! 一つ気づいてしまえば「ここにも」「ここにも」と宝探しのように見つかり、知的好奇心がくすぐられる。
鉄道の廃品が「第二の人生」としてアートに
前出の2ホテルとの大きな違いは「鉄道」を前面に出していない点にある。「鉄道コンセプトルーム」も存在しない。鉄道博物館のように単に資料やグッズを展示せずに、アートとして昇華させることで、高級ホテルとしての品格を見事に完璧に保っている。
同ホテルのセールス&マーケティング次長(取材当時)の平岡修一さんによれば「千利休が、ものを何かに見立てる『遊び心』を茶の湯でやっていたように、オブジェとして鉄道にまつわるものを置くという考えでプロデュースしています」とのこと。
博物館行きでなければ廃棄になるものたちが、アートとして第二の人生を歩んでいると聞けば、鉄道ファンはジーンときてしまう。ほかにも初代大阪駅を体験できるARなど、鉄道ファンでなくても世代を超えて楽しめる仕掛けが満載だ。過去には開業1周年記念で「駅なかツアー付き特別宿泊プラン」を発売し、20名という限定枠が発表早々に完売したそう。
マニアから富裕層、インバウンドまでを虜にするこの空間。ラグジュアリーな空間を飾る鉄道アート、今回紹介したのはほんの一部分だ。現地に行っていろいろな「お宝」を見つけてみては。
宿泊のための「ホテル」そのものを再定義
それぞれが、独自のコンセプトで異彩を放つJR西日本グループの鉄道ホテル。「鉄道ファン」を一括りにせず、ターゲット層のニーズを細分化してそれぞれに適したブランドでアプローチしている点が大きな強みだ。
「安さ」や「新しさ」だけでは、もはや客を呼べない時代。自社が持つ歴史やこだわりを、いかに「独自の宿泊体験」としてパッケージ化できるか。JR西日本グループの「鉄分多め」なホテルは、ホテルそのものを再定義しているといえる。







