マッサージ技術150項目を見える化

もう一つは、生産性を上げることだ。国の診療報酬が決められている以上、物価上昇による価格転換はできない。生産性を上げるために重要なのは、技術の高度化を図ることだ。そこで、「教育」が要となる。

フレアスでは人の感覚に頼っていたマッサージ技術を150項目に分け、「見える化」を実現した。

「手の当て方とか角度とか、全て、評価者によって差がなくなるようにしたんです。感覚的なものを『見える化』して、クオリティを担保する。“口伝”の世界に、評価という物差しを入れた。これは我々だけです」

動画も1000本以上作り、社員ならいつでもどこでもスマホでマッサージのテクニックを学ぶことができるし、毎回、テストがついているので、各人のレベルも社内でわかる。このシステムにより全国どこの事業所の、どんな施術者によってでも、ばらつきのない高いレベルの技術が提供できるのだ。

技術を上げることにより、確実に生産性を上げることができるのは、「加算」が取れるからだ。現に3年前に比べて、3割ほど生産性は上がっている。

「たとえば、関節拘縮に対してアプローチをすることによって得られる加算があるんです。寝たきりで関節拘縮の人に関節可動域訓練をすれば、固まっていた箇所が伸びて、着替えがしやすくなったり、歩きやすいようになったりする。高いレベルの技術によって、利用者さんに利益を提供し、こちらも高い報酬を得ることができるということです」

生産性が上がれば、社員に還元できる。低収入だと言われるマッサージ業界の報酬を上げることで、働きたい人を増やすことができる。これも、「いい循環」だ。

街の治療院が人気で訪問の採用は苦戦

毎年、1000人しか誕生しない鍼灸マッサージ師。ゆえに採用活動にも、厳しいものがある。人材開発部次長の鈴木梨緒さんは明るくさらりと話すが、どれほどの苦労なのか。

フレアス人材開発部次長の鈴木梨緒さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
フレアス人材開発部次長の鈴木梨緒さん

「マッサージ師の資格が取れる学校は全国で21校のみ、すごく少ないです。そして、この枠は広がらない。学校とのつながりが強い業界なので毎年、何回か学校を回って、私どもを知っていただくよう働きかけたり、学校説明会には必ず顔を出しています。しかし、1000人からどれだけ、こちらに来てくれるかというと、街の治療院が一番人気で、訪問マッサージに行きたい子は2割から1割ですね」