マッサージで痛みが軽減

そもそもマッサージは寝たきりの人だけでなく、がん末期など終末期の人間にも非常に相性がいい。東京大学との共同研究で、マッサージで痛みが軽減することも明らかになっている。

「治らない状態でも、人はやっぱり触れてほしいし、痛みを取ってほしいんです。モルヒネで痛みは無くなるけれど意識が朦朧となって、覚醒時間が少なくなる。マッサージで痛みが軽減すれば、覚醒時間が増え、生活の質が上がるわけです。在宅マッサージには、いろんな可能性があると思っています」

澤登さんはよく各地の事業所行脚をしているが、肌で感じるのは、どこの事業所も働いている人たちがとても明るいということだ。介護は苦しい仕事ではなく、楽しく前向きに行うものだと、実際に向き合っている人たちが教えてくれる。これが、フレアスなのだ。

フレアスでの技術を磨く研修の様子
写真提供=フレアス
フレアスでの技術を磨く研修の様子

マッサージを受けることで寝たきりになっても最後まで笑い合え、働く側も感謝の思いをモチベーションに、楽しく前向きに誇りを持って仕事をする。「いい循環ができている」と、澤登さんは心からうれしく思う。

「明るく笑い合って、前向きなエネルギーで仕事ができるって最高ですね。ES(従業員満足度)調査をすると、社員の9割が仕事にプライドを持っているんです。いい仕事だと思っている。『ありがとう、ありがとう』って言われて」

社会貢献を果たすことと社員の幸せは、フレアスでは同義語だ。この“幸せのサイクル”こそ、フレアス自身の存在価値なのだ。

FAX文化が残る介護業界

最大の問題は人手不足、泣きどころはマッサージ師がそもそもいないということだ。

「介護を必要とする700万人中、我々は業界最大手でありながら、1万5000人しかやっていない。10倍の人がいたら、もっと提供できる。ニーズはどんどん高まるのに、人がいない」

まず取り組んだのは、テクノロジーの活用による業務効率化だ。

「介護業界っていまだに、FAX文化なんです。AIを使ってペーパーレスにすれば、30%から40%の業務効率を改善できます。報告書も、マッサージしながら施術師が話していることをAIが記録化すれば、チェックだけで済むわけです」