移籍金の49%が手数料で取られる異常

2016年8月、フランス代表のポグバが移籍金1億50万ユーロ(約121億円)でマンチェスターUへ移籍した。その際、代理人のミノ・ライオラは両クラブから計4900万ユーロ(約56億円)を受け取ったと見られている。

ポール・ポグバ氏
ポール・ポグバ氏(写真=Gabriel Hutchinson / WikiPortraits /CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

手数料が移籍金の49%⁉ 常軌を逸したコミッション料である。家の売買を扱った不動産会社が、売却額の半分を手数料として取ったら、裁判沙汰になるに違いない。

なぜ、こんな手数料が可能だったのか。そのカラクリを暴いたのがハッカー集団「フットボールリークス」だ。彼らはクラブや代理人事務所が使うサーバーをハッキングし、大量の告発文書を入手。それらがドイツのシュピーゲル誌に提供されると、シュピーゲル誌の記者が他国のメディアに協力を求めてチームを編成し、国際的な共同取材によって実態が明らかになった。

彼らの報告によると、ライオラが手にした4900万ユーロ(約56億円)の内訳は次の通りだ。

①売り手・ユベントスからの報酬=2700万ユーロ(約31億円)
②買い手・マンチェスターUからの報酬=1940万ユーロ(約22億円)
③選手・ポグバからの代理人報酬=260万ユーロ(約3億円)

売り手と買い手、双方から手数料を受け取る――。ここに最大の問題がある。売り手は高く売りたい、買い手は安く買いたい。この二者の利益は根本的に相反する。通常、代理人はどちらか一方の立場に立つべきだと考えられている。

高額移籍の裏に存在する「密約」

たとえばヴィッセル神戸が2009年に大久保嘉人をボルフスブルクから獲得しようとしたとき、ヴィッセルはクラブ代理人としてAを用意した。大久保が契約する代理人Bとも、ボルフスブルクが契約するドイツ人代理人Cとも別の人間だ。

イギリスの法律では、売主・買主双方の了解を取れば、両方から手数料を取ることは認められている。しかし、「フットボールリークス」によると、ライオラは両クラブに対して双方から報酬を得ることを伝えずに、両側の代理人を務めた(ライオラ本人は否定)。

さらに衝撃的なのは、ユベントスとの間で結ばれた密約だ。移籍金の最低額を9000万ユーロに設定し、ライオラへの最低報酬を1800万ユーロとする。そして移籍金が9000万ユーロを超えた場合、500万ユーロ増えるごとに300万ユーロをライオラへ支払う条項が盛り込まれていた。ある意味、ポグバの所有権の一部を代理人が握っていたような構図である。この結果、ポグバ移籍時にユベントスからライオラへ2700万ユーロ(約31億円)が払われた。