「中国サッカーの崩壊」が日本にもたらすもの

一方、中国サッカーの崩壊は、日本サッカーに短期的な利益をもたらしている。一時期ヨーロッパのクラブはこぞって中国で親善試合を行っていたが、再び日本をメインターゲットにするようになったからだ。Jリーグもその変化を受け、7月下旬頃に国内リーグを休みにし、欧州ビッグクラブを迎えやすい日程を組むようになった。

2024年にはトッテナム、ニューカッスル、ブライトン、ドルトムント、シュツットガルト、レアル・ソシエダ、スタッド・ランスが、2025年にはバルセロナ、リバプール、レアル・ソシエダ、スタッド・ランスが来日した。

ただし、長期的にはライバルの躓きは日本にとってもマイナスだ。日本代表の強化にはアジア地区のレベルアップが不可欠だからだ。UEFAはネイションズリーグを立ち上げ、親善試合を減らして真剣勝負の場を増やしている。その結果、ヨーロッパの代表チームを日本に呼ぶことが以前よりも難しくなった。W杯予選やアジアカップ予選が簡単すぎると実戦感覚は鈍る。W杯優勝には強い隣国が必要である。

中国代表(2019年AFCアジアカップ)
中国代表(2019年AFCアジアカップ)(写真=Amir Ostovari/Fars Media Corporation/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

「サッカー界のマフィア」の正体

サッカーマネーに関して、ときに主役になるのが代理人だ。移籍交渉の裏側で暗躍し、巨額の手数料を手にする存在である。そのあまりの影響力から、「サッカー界のマフィア」と揶揄されることも少なくない。

さすがのFIFAも、代理人の横暴を看過できなくなり、2023年、代理人の免許制度を復活させた。FIFAのエージェント試験に合格した者だけが、公認代理人として活動できるという制度である。同時にFIFAは規則を改定し、双方代理を禁止する文言を盛り込んだ。

かつては1人の代理人が「売却側のクラブ」、「獲得側のクラブ」、「選手」、三者すべてから手数料を取ることが可能だった。だが、新ルールではそれが明確に禁止された。

事前に書面で合意した場合のみ、同じ人物が「獲得側のクラブ」と「選手」の代理人を務めることができるが、売る側と買う側の両方の代理人を務めることはできなくなった。さらに、手数料も上限が設けられた。

「売却側のクラブ」の代理人を務めるときは移籍金の10%まで、「選手」と「獲得側のクラブ」の代理人を務めるときは、移籍金ではなく選手の年俸を基準に算出され、高額年俸の場合はその3%まで手数料を得ることができる。

実はこのルール改定には、きっかけになった事件があると言われている。その事件とは、ポール・ポグバのユベントスからマンチェスター・ユナイテッドへの移籍だ。