昔は「贅沢な甘いお菓子」だったが…

私は香港に住んでいたときに広東式をたくさんもらったが、香港には同じ広東省の潮州から移住してきた人が多く、潮州式の月餅ももらったことがある。潮州式は外側がパイ生地になっていて、中身は緑豆をつぶしたあんやタロイモのあんで一風変わっていた。潮州式月餅をもらって初めて「この人(または両親)は潮州から移住してきたんだ」と知ったこともあった。

広東式の月餅
写真=筆者撮影
広東式の月餅。日本のものよりサイズが大きく、やや油っぽいのが特徴

中国では四個入り、六個入りなど、きれいな箱に詰めて贈答品としてよく使う。伝統的なメーカーのものは缶入りが多く、外資系ホテルのものは豪華な箱に入っている。

毎年、中秋節が近づくと、会社の取引先や親しい人、親戚に月餅セットを配り、挨拶回りをする習わしがある。日本のような「お中元」「お歳暮」がない中国では、数少ない贈答の季節だ。なので、会社によっては数百個、あるいは数千個単位で菓子店に注文する。社員に月餅セットを配ることもあるし、「月餅券」を配布して、社員はそれを菓子店に持って行き月餅と引き換える方法を採るところもある。