10.5兆円は、日本最後の好機かもしれない
フィジカルAIは10年単位の構造変化である。2026年6月18日、市場が動いた。翌6月19日、国家が動いた。
では、次は――いつ、誰が、何を動かすのか。
答えは、明日からの経営者・投資家・政策決定者の意思決定にかかっている。市場が「大地」と「OS」を買い、政府が「身体」層に資金を流し込む。この2つの動きが連動した今、次に動くべきは、経営者である。
世界の戦場は、生成AIからフィジカルAIへ移った。米国は「脳」を握り、中国は「規模」を握る。日本が握るのは、「人工知能が現実世界に触れる瞬間の全工程」である。
10.5兆円は、日本にとって最後の好機かもしれない。半導体で敗れ、家電で敗れ、PCで敗れ、スマートフォンで敗れ、生成AIで敗れた日本が、フィジカルAIで再び敗れたら――日本の製造業の歴史的優位は、もはや回復不可能になる。
しかし、ここで勝てば――日本は21世紀の産業設計国として、世界の中心に戻ることができる。
フィジカルAIは、産業の話ではない。日本という国が、もう一度、世界の設計者になれるかどうかの話である。
『フィジカルAIの衝撃』で私が描いた未来は、すでに始まっている。
設計国になるか、実装国で終わるか――その分岐は2030年ではなく、いま、この瞬間の意思決定にある。

