戦略軸④:「身体」と「OS」を結合せよ

日本企業の歴史的敗戦パターンは明確である。

高品質な部品や単体ロボット(身体)を供給することには成功したが、それらを束ねてデータとオペレーションを一元管理する「プラットフォームOS」を海外勢に牛耳られ、マージンの低い下請けへと転落してきた。半導体、家電、PC、スマートフォン――同じ構造で、日本は何度も敗北を喫してきた。

ベルトコンベアで運ばれる洗濯機
写真=iStock.com/onurdongel
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この構造を、フィジカルAI時代に3度繰り返してはならない。

日本企業に求められるのは、自前主義を捨てる勇気である。エヌビディアやテスラなどの汎用AIモデルを否定するのではなく、その上に自社の運用知を積み上げ、「特化身体×特化OS」を構築する。

身体だけ供給する者は、サプライチェーンの一部で終わる。OSを握る者が、現場の支配権と長期収益を握る。身体設計とOS設計の結合こそ、日本企業の勝ち筋である。

では、経営者は明日の経営会議で、何を議論すべきか。

「下請け転落」を3度繰り返さないために

第1の論点は、自社のデータをどう扱うかである。3つに分類することから始める。①競合の追従を許す再現性の高いデータは、業界全体で共有する方が自社の利益にもなる。②自社固有の運用ノウハウが反映された判断データは、絶対に渡してはならない戦略資産だ。③業界全体の標準化に貢献するデータは、共有することで業界全体の競争力を底上げできる。この3分類を、自社の現場データに当てはめてみる。

第2の論点は、汎用基盤モデル(AIRoA、エヌビディアIsaac Sim、各種オープンソース)の上に積み上げる「自社固有の運用知」は何かである。汎用モデルでは決して再現できない、自社の現場でしか取得できないデータ、判断、調整、最適化――これを特定し、戦略資産として定義する。

第3の論点は、業界横断の連携体(AIRoA、業界団体、コンソーシアム)にどう関与するかである。中核に入るのか、情報を取りに行く位置にとどまるのか、独自路線を歩むのか。この判断は、自社の戦略的ポジショニングを決める。

これらの問いに答えられない経営者は、フィジカルAI時代の主体ではなく、客体になる。10.5兆円の投資が動き始めた今、答えを先延ばしにする余裕はない。