勢いのある現代企業の都道府県別の分布
次に、老舗企業から目を転じて、勢いのある現代企業の都道府県別の分布を調べてみよう。
都道府県別のトップ企業を判定する指標としては、以前は国民や地域の消費生活を支える存在として売上高による場合が多かったが、最近では高齢者の資産運用の重要性に鑑み、時価総額による場合が多くなっている。日本全体や世界の企業ランキングが時価総額で行われるようになった影響もあろう。
各県に実質的に本社を置く企業について時価総額トップを判定するのは、ある一時点の時価総額について、本社所在地の属性を含む網羅的な企業リストを参照しなければならないので案外難しい。
ここでは、会社四季報の2021年データでトップ企業を判定したグラフを掲げた(図表2)。最新の状況変化については後段で触れる。
2021年当時の最大の地元トップ企業は、日本のトップ企業でもあった愛知のトヨタ自動車である。
東京のソフトバンクグループがこれに次ぎ、大阪のキーエンス、山口のファーストリテイリング(ユニクロ)、京都の任天堂、千葉のオリエンタルランド(東京ディズニーランド)が続いている。
このほか、地元性が高い企業として、愛知のトヨタ自動車のほか、神奈川の日産自動車、静岡のスズキ、広島のマツダといった自動車メーカーが、まず、目につく。
さらに、山口のファーストリテイリングのほか北海道のニトリ、茨城のケーズホールディング、群馬のワークマン、埼玉のしまむら、といった地元から全国的なチェーン展開がはじまった小売業、製造小売業などが目立っている。
有名小売・飲食チェーンを生む北関東と埼玉
北関東や埼玉では首都圏における消費人口の巨大な集積を背景に、有力な小売・飲食チェーンが地元から成長している。茨城のケーズHLD、栃木のコジマ、群馬のヤマダHLD、ワークマン、埼玉のしまむらなどである。
特に埼玉では図表3に掲げたように地元で創業し、関東を中心に広域展開した有力小売・飲食チェーンを数多く輩出している。
関東圏のこうした特徴は、中京圏・関西圏の各府県トップ企業が製造業やソフト産業で占められ、小売・飲食の大手企業は登場していないのと比較すると、なおさら、目立っている。
しかし、北関東・埼玉のトップ企業の時価総額は、中京圏のトヨタ自動車は論外だとしても、関西圏における、京都の任天堂(または最近トップとなっている村田製作所)、大阪のキーエンス、兵庫のシスメックス(または最近トップとなっているアシックス)などの時価総額規模と比較するといかにも小さい。
つまり、北関東・埼玉で小売・飲食チェーンのトップ企業が目立つということは、逆に言えば、関西のように、モノづくりにこだわり世界的なメーカーに成長するような企業を地元から輩出していないことの裏返しだとも考えられる。
北関東・埼玉で創業した世界的メーカーとしては栃木・太田市のスバル、茨城・日立市の日立製作所があるが、いずれも東京が本社であり、地元性は関西企業ほどでない。


