※本稿は、中野ジェームズ修一『大人気フィジカルトレーナーが本気で考えた 疲労回復の習慣』(日経ビジネス人文庫)の一部を再編集したものです。
肩こりと腰痛は日本人の国民病
日本人の有訴率(病気やけがなどで自覚症状がある人)は、男性も女性も1位が腰痛で2位が肩こりとなっています(厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」)。肩こりと腰痛は、日本人の国民病なのです。
疲れていると、肩こりや腰痛はひどくなります。こりや痛みがひどくなると、体を思い切って動かせなくなって、体力が落ちるため、疲れに拍車がかかることになります。まさに悪循環です。
肩こりや腰痛が起こる原因は通常、筋肉と関節にあります。
たとえば、肩こりの多くは、頭や腕の重みを、首すじや背中の筋肉が支えることによって生じるとされます。頭は体重の10%ほどの重さを占めており、体重が50kgなら約5kgあります。腕は1本で体重7%ほどであり、約3kgの重さになります。これだけの重みを支える必要があるため、首すじや背中の筋肉は緊張を強いられています。
「こり」や「痛み」の慢性化
筋肉が緊張して強ばってくると、周囲の血管を圧迫して血流が不足するようになります。その状態が続くと関節の動きも悪くなり、血行はさらに悪くなります。そして緊張して収縮している筋肉は、リラックスして弛緩している筋肉よりも、より多くの酸素やエネルギー源を求めます。つまり、筋肉が緊張すると、血行が悪くなるのに、血液が運ぶ酸素やエネルギー源をより多く求めるのです。
すると、筋肉は「酸素もエネルギー源も足りなくなったぞ!」というSOSを発するようになります。これは筋肉が自らを守るための防衛反応のようなものです。
SOSの正体は、ブラジキニンやヒスタミンといった物質です。筋肉を取り巻く毛細血管が緊張などでダメージを受けると分泌されて、炎症と痛みを引き起こします。
痛みが生じると、筋肉は緊張して収縮し続けます。それがさらなるブラジキニンやヒスタミンの分泌を促す負のサイクルから抜け出せなくなり、緊張→痛み→緊張……が繰り返されるようになります。それを長年放置していると、こりや痛みが慢性化しやすくなるのです。

