水泳選手でも肩こりは起こる

こうしたメカニズムを踏まえると、頭や腕の重みに負けないほどの筋肉が首すじや背中に備わり、肩や肩甲骨の動きがスムーズで血流も活発なら、肩こりは起こらないはずです。

ところが、首すじも背中も筋骨隆々であり、肩も肩甲骨も自由自在かつアクティブに動く水泳選手でも、肩こりは起こります。一体なぜでしょうか。

水泳選手の多くが肩こりを訴えてトレーナーに「マッサージをお願いします!」と頼んでくるのは、オリンピックなどの大切な試合を控えたタイミング。本番前の精神的なストレスが肩こりにつながっているのです。ストレスは疲れの原因にもなるため、疲れるくらいストレスが蓄積すると、肩こりも腰痛も悪化しやすいのです。

プールのレーンをバタフライで速く泳いでいる選手
写真=iStock.com/BryciaJames
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原因が特定できる腰痛はたった15%

厚生労働省によると、慢性的な腰痛で、画像診断などで原因が特定できるのは全体の15%程度。これは「特異的腰痛」と呼ばれており、原因としては腰部椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などが上げられます。残りの約85%は、原因がはっきりしない「非特異的腰痛」。すでに触れたように、これまでは筋力や関節の柔軟性の低下などで説明されてきました。

そして近年、非特異的腰痛の原因としてスポットライトが当たるようになったのが、疲れやストレスです。筋力不足、筋肉の血流不全、関節の柔軟性の低下などで肩こりや腰痛が起こるのは間違いないのですが、それ以外のストレスで起こるこりや痛みは、想像以上に多いようなのです。

腰痛が筋力不足や関節の柔軟性の低下によって生じるなら、腰痛を訴える人の割合も、加齢とともに右肩上がりになりそうです。何も運動をしていないと、筋力や関節の柔軟性は加齢とともに低下するからです。

ところが、現実は違います。腰に慢性的な疼痛(いわゆる腰痛ですね)を感じる人の割合を調べた研究では、腰痛は高齢者ではなく40代女性に圧倒的に多いという結果が出ているのです(厚生労働省「筋骨格系慢性疼痛の疫学および病態に関する包括的な研究」(慶應義塾大学)、厚生労働省「平成23年度・慢性の痛み対策研究」)。