立法論として不当

小規模事業者の救済という上述の趣旨からすれば、大手商社をも凌ぐ市場支配力を持つJA全農などの連合会まで適用除外としているのは、立法論としては著しく不当である。

『コメ高騰の深層 JA農協の圧力に屈した減反の大罪』(宝島社新書)
『コメ高騰の深層 JA農協の圧力に屈した減反の大罪』(宝島社新書)

しかし、独占禁止法の適用外となっている協同組合であっても、ほかの事業者と共同して特定の事業者との取引を拒絶したり、共同行為からある事業者を不当に排除したりするような「不公正な取引方法を用いる場合」又は「(一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより)不当に対価を引き上げることとなる場合」は、独占禁止法の規定が適用される。

“不公正な取引方法”のうち、共同の取引拒絶、差別対価、排他条件付き取引などの行為は、“市場における有力な事業者”(目安として市場シェアが10%以上または上位3位以内)が行う場合に違反となるが、「JAは生産資材の供給や農産物の出荷、共同利用施設の賃貸等といった分野において、ほとんどのケースで有力な事業者に該当します。」(JA全中等「独占禁止法の遵守に向けて」)つまり、JA農協自身が“市場における有力な事業者”であり、単なる小さな事業者の集まりではないことを認めているのだ。

「50%以上の引き上げは独禁法違反」の解釈も

JA農協による独占禁止法違反(とりわけ“不公正な取引方法”に該当)が後を絶たないことから、公正取引委員会は2007年「農業協同組合の活動に関する独占禁止法の指針(ガイドライン)」を公表した。

これを検討するため公正取引委員会が開催した研究会(“政府規制等と競争政策に関する研究会”2006年11月24日)で、同委員会事務局の経済取引局長は、協同組合が100円のモノの価格を110円程度に引き上げる場合には独占禁止法違反を問われないが、150円にすれば、「不当に対価を引上げる」こととみなされて独占禁止法違反となる旨述べている。10%程度なら良いが、50%も引き上げることは違反だという解釈である。

公正取引委員会(2025年5月)
公正取引委員会(2025年5月)(写真=公正取引委員会ホームページ/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons