「コメ市場」開設を阻み続けるJA
しかし、1918年のコメ騒動の後に起きた米価低落をきっかけとして、政府がコメ市場に介入するようになってから、堂島のコメ先物市場は閉鎖された。
1996年コメの価格や流通を統制していた食料管理制度が廃止され、先物市場の可能性が出てきた。2005年に東西の商品取引所がコメの先物市場を農林水産省に申請したが、JA農協が反対したため自民党政権の下では認められなかった。
民主党政権となった2011年、やっとコメの先物取引の試験上場が認められた。72年ぶりの先物市場の復活だった。しかし、この時もJA農協は先物市場へのコメ上場をボイコットした。以降、何度も試験上場から本上場への機会があったが、その都度JA農協に反対され、2020年先物市場は廃止された。本上場が否定された理由は取引の低迷だが、JA農協が参加しない以上当然だった。
法の網目をくぐるJA
25年産の米価は、コメに市場がないことを利用し、JA農協が独占的な市場支配力を行使して米価を引き上げた人災だ。しかし、これは独占禁止法に違反しないのだろうか?
独占禁止法では、カルテル(共同して生産したり、販売したりすることなどで競争を制限する行為)は、禁止されている。しかし、小規模事業者や消費者が協同組合を組織する場合には、独占禁止法の適用除外が認められ、カルテル行為は許されている。この場合、農産物についての農家と農協の関係は、農家が農協に委託して販売するというもので、法律的には農家が卸売業者に販売(所有権は農家から卸売業者に移転)している。農協を通じても販売するのは農家なので、複数の農家が(農協を通じて)共同して販売すれば、農家がカルテルを結んでいるという整理となる。
この趣旨は次のようなものである。単独では大企業に伍して競争していくことが困難な小さい事業者や交渉力の弱い消費者も、共同して生産や販売、購入をすることで大企業に対抗できる。しかし、こうした行為は形式上は独占禁止法に違反することになる。したがって、このような事業者などが互いに助け合うことを目的として、協同組合を作り、それを通じて生産や販売等をした場合には、独占禁止法の適用を受けないようにして、市場で有効に競争したり、取引したりすることができるようにしたものである。あくまでも弱者である小規模事業者の救済である。
そもそも、そのような小さな事業者で構成される協同組合の行為が「一定の取引分野の競争を実質的に制限する」(独占禁止法第2条第5・6項)危険性はないはずであり、念のために置かれた規定だと理解されている。
具体的には、独占禁止法第22条で、①小規模事業者または消費者の相互扶助を目的とし、②任意に設立され、組合員が任意に加入または脱退することができ、③各組合員が平等の議決権を有し、④組合員に対する利益の分配の限度が法令または定款に定められている、という要件を備えた組合および連合会の行為には、独占禁止法を適用しないとしている。単協だけではなく、大きな連合会(JA全農など)も適用除外の対象となっている。

