親の入院や介護で、きょうだいトラブルが発生することがある。訪問診療・緩和ケアを専門とする医師の岡山容子さんは「親の介護は親のお金でするのが大前提」という。後悔しない親の看取りとはどんなものか。ライターの市岡ひかりさんが聞いた――。(第2回/全2回)
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撮影=プレジデントオンライン編集部

親の病気で発生する「きょうだいトラブル」

親の介護や看病は、時にきょうだい間のきずなを引き裂くリスクを孕んでいる。

本人の望む、望まないにかかわらず世話を引き受けた人の時間的、金銭的、精神的な負担は大きく、介護離職に至るケースも後を絶たない。一方、親と距離を置いてきた兄弟は、突然変わり果てた親の姿に大きなショックを受けがちだ。

「なぜもっと早く教えてくれなかったのか」「もっとしてあげられることがあったんじゃないのか」――。

きょうだい間のしこりは親が亡くなった後も残り続け、介護を負担した分を相続で取り戻そうと、遺産相続でモメにもめる……。

親の看取りをめぐる、最悪なシナリオだ。が、残念ながらよく聞くケースでもある。実を言うと、私(=筆者)も、実家と長らく疎遠になっているきょうだいに、認知症が悪化して精神科に入院させた母の現状を伝えられずにいる一人だ。

数年前にアプローチを試みたものの、その後は連絡が途絶えてしまった。「なぜ私だけがすべてを背負わなければいけないのか」という不公平感が募る一方、自分から親と距離を置いた彼らの気分を害して余計なトラブルになりたくないという思いもある。親への対応で精いっぱいになっている今、そもそも連絡すべきなのか、思い悩んでいた。

しかし、『毒親を在宅で見送った緩和ケア医が伝える 関係のよくない親を看取るということ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者で、京都府で訪問医として数々の患者の看取りやその家族に向き合ってきた岡山容子先生は「不要なきょうだい間トラブルを防ぐためにも、一応現状を伝えておいた方がいい」と助言する。