医師が経験したきょうだいトラブル
岡山先生自身、親の金銭問題で苦労した一人だ。詳しい話は先述の著書にゆずるが、岡山先生の母は宗教にハマってお金を浪費し、度々4人の娘にお金の無心をするようになったそうだ。次女である岡山先生は突っぱねていたものの、次第にお金を工面していた長女や四女に負担が集中することに。このままでは、姉妹間で不公平感が高まってしまう。
そこで始まったのが、積立貯金だ。一人月に1万円ずつ貯金し、親のためにお金が必要な時に使うことに決めた。結果的に積立金は、遠方の姉妹が親の用事で帰省する際の交通費や、急遽母が入居することになったサービス付き高齢者住宅の頭金などに活用できたという。
「特に遠方に住む姉妹の経済負担を軽くできたのは大きかったですね。母を看取った今では、法事や家族で会食する際の費用に充てています。自腹で食事会に出席、となると気が進まないものですが、『交通費も食事代も出るなら』となれば遠方にいる姉妹でも気軽に乗ってきてくれる。おかげで姉妹の仲が良くなりました(笑)」と岡山先生は言う。
介護や手伝いの対価は、親からもらっていい
きょうだい間の金銭的な不公平感は、後に遺産をめぐる争いに発展することもある。特にありがちなのは、親と同居、あるいは近所に住み、介護や親の手伝いを担っているきょうだいが、遺産分割の際「ほかのきょうだいと同額なんて納得できない」と訴えるケースだ。過去の介護への貢献を遺産分割の考慮に入れられるケースもあるが、計算やバランスが難しいのも確かだ。
そこで岡山先生は「介護や手伝いの対価は、親からもらっていいんです」とアドバイスする。実際、岡山先生の場合も、父の生活支援のため、長女が週に3回実家に手伝っていたことがあったそうだ。長女から直接不平を訴える声はなかったものの「ありがとう」とお礼を言うだけでは不公平感が残ってしまうかもしれない。そう考えた岡山先生は、父に「実家の手伝いをした分、姉にバイト代を支払ってはどうか」と提案。父はしぶしぶながら、長女に月10万円のアルバイト料を払っていたそうだ。
「親のために働いているんだから、お金をもらうのは当たり前のこと。もし、後々お金をもらっていたことが、きょうだい間のトラブルに発展しそうだと思うなら、親と簡単な契約書を交わしておくのもいいと思います」

