「のどが渇いてから」では遅い

熱中症予防の基本は、「のどが渇いてから飲む」のでなく、「渇きを感じる前に飲む」ことです。のどの渇きはすでに軽い脱水が始まっているサインであり、暑い日や汗をかきやすい環境では、渇きを感じる前からこまめに水分をとることが重要です。

トレーニングジムで休憩を取る女性
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

その上で、水分補給のポイントは以下のとおりです。

・のどが渇く前に、少量ずつこまめに飲む(目安:1時間ごとにコップ1杯程度)。
・日常の水分補給は、水や麦茶などのノンカフェイン飲料を基本にする。
・汗を多くかく場面では、経口補水液や塩分タブレットを活用して電解質(ナトリウム)も合わせて補給する。
・スポーツドリンクや甘い清涼飲料水を“水代わり”に常用しない。糖分が多い飲料は、大量発汗がある場面での補助として位置づける。
・カフェイン飲料だけで水分補給を済ませる習慣は避ける。
・アルコール飲料は、利尿作用によりかえって体内の水分を奪うため、熱中症対策としての水分補給には使用しない。

大切なのは、飲み物の役割を場面に応じて使い分けることです。水分補給は単に量を確保するだけでなく、何をどのような状況で飲むかを意識することで、より効果的な対策となります。毎日の飲み方を少しずつ整えることが、猛暑を乗り越えるための着実な一歩となるのです。

いつ、何を補給するのか

熱中症対策について「水分をしっかり摂る」という認識は、今や多くの人に浸透しています。しかし、何を・どのように・どのような状況で補給するかという「活用の質」を見直してみると、対策のつもりで行っていた行動が、意外な落とし穴になっている場合があるかもしれません。

重要なのは、普段の習慣を少しだけ見直し、その状況に応じて適切な飲料と摂取方法を選択することです。その小さな積み重ねが、厳しい夏の暑さを乗り切るための、最も着実な対策となります。

※参考文献
・環境省 熱中症環境保健マニュアル~総論~. 2025年7月版
・Sawka MN, Burke LM, Eichner ER, Maughan RJ, Montain SJ, Stachenfeld NS. Exercise and Fluid Replacement. Medicine & Science in Sports & Exercise 39(2):p 377-390, February 2007.
・Greenberg S, Forst L, Klein MD. The Role of Alcohol, Sports Drinks, and Caffeinated Beverages in Preventing Heat-Related Illness. J Occup Environ Med. 2025 Oct 1;67(10):e762-e764.

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