海外メディアが“覚醒”に気付いた
一連の応酬により、国内では小泉氏への評価が急上昇している。
昨年10月の自民党総裁選では、「まだ早い」とも言われた小泉氏。結果は2位に終わった。だが、注目度の高い防衛相のポストに起用されたことで、小泉氏は一夜にしてその人物像を塗り替えた、と米外交専門誌ディプロマットは伝える。
記事の見出しはズバリ、「小泉進次郎の覚醒(The Awakening of Koizumi Shinjiro)」。かつて小泉氏を批判していた政敵でさえ、とりわけネット世論に敏感な層を中心に、この空気の変化を鋭く感じ取っていると同誌は読み解く。
国民民主党幹事長の榛葉賀津也氏も、小泉氏の成長を感じ取った人物の一人だ。連日の記者会見がネットで人気を呼ぶ中、彼も小泉氏を「覚醒した男」だと感じたと語り、海上自衛隊についての知見もあわせて称賛した。
保守系言論人の櫻井よしこ氏も自身の番組で、小泉氏が防衛相就任以来「覚醒」し別人になったと評し、本人も「そう言われることが多い」と認めている。
同誌は小泉氏について、米ワシントンのシンクタンクの研究員としてキャリアを踏み出したと紹介。しかも出身の選挙区には、海上自衛隊だけでなく、在日米海軍の中でも中核的な存在である米第7艦隊が存在する、と続ける。
こうして小泉氏は、地元での活動を通じて安全保障の実情を肌で感じ取ることで、防衛相に求められる言葉遣いと立ち居振る舞いを早くから身に付けていた。「覚醒」と呼ばれる今よりはるか前に、その下地を身につけていたのである。
防衛政策を前面に掲げる高市政権の方針と、ネット世論が国政を左右する新たなメディア環境。小泉氏は、この2つに後押しされる形で、新たな評価を定着させつつある。
日米同盟をより強固にした“立ち回り”
小泉氏の鋭い切り返しが国内のネットで喝采を浴びたのには、もう一つ理由がある。会合で見せた、日米の結束を可視化する立ち回りだ。
小泉氏自身が登壇する前日の、5月30日。ヘグセス米国防長官がシャングリラ会合本会議での演説を終えると、小泉氏は質疑で挙手し、会場から問いを投げた。
米海軍協会系のUSNIニュースによれば、小泉氏は「インド太平洋へのアメリカの関与は揺るがないと感じている」としつつ、一部の国はそれを過小評価していると指摘し、同地域の各国が安心できるようなメッセージをヘグセス氏に求めた。
これにヘグセス氏は、アメリカの国家防衛戦略の柱には本土防衛だけでなく「インド太平洋における対中抑止」「同盟国との負担分担」「防衛産業の強化」が含まれていると応じ、アメリカがこの地域に背を向けることはないと請け合った。
国内のネットでも、この公開質問は、日米の固い結束を世界にアピールした好手として受け止められた。中国が日本を「孤立した軍国主義国家」に仕立てようとしたまさにその場で、日本は同盟国アメリカとの一体ぶりを自然に演出した形だ。
中国が貼ろうとした「新型軍国主義」のレッテルとは裏腹に、日本は日米同盟の頼れるパートナーとして、アメリカとともに地域の安定を支える立場にある。小泉氏はシャングリラ会合を通じて、その事実を世界に示してみせた。


