日本を「世界の模範的市民」と呼んだ国防相も
ニューズウィークによると、ギルベルト・テオドロ国防相は記者団を集めた非公開の取材の場で、中国の歴史攻撃を「ばかげている(ludicrous)」と一蹴。それは「ほかの考え方を耳にする自由がない(who don't have the freedom to listen to other points of view)」中国国内の聴衆に向けたものにすぎないと断じた。
そのうえでテオドロ氏は、こう語っている。「日本は、口先だけの言葉よりも、前向きな行動と善意によって、より多くの謝罪を行ってきた」。テオドロ氏は、日本を「世界の模範的市民(a model citizen of the world)」とまで呼んだ。中国が連帯を期待した当の国が、逆に日本の弁護に回ったのである。
専門家の見立ても、これと同調する。同誌に対し、シャングリラ会合を主催するIISSにおいて日本部長を務めるロバート・ウォード氏は、日本が中国を警戒する周辺国とうまく共通の地盤を見いだしていると分析。中国を警戒する近隣国には、日本の主張を受け入れる素地がすでにあると読み解いている。
対照的な中国国営メディアの報道
一方で中国メディアは、同じ質疑応答をまったく逆向きのストーリーとして報じた。世界の主要メディアがこぞって小泉氏の切り返しを称賛するなか、中国国営メディアの論調は独特だ。
その筆頭が、国営放送のCGTNだ。特別コメンテーターによる寄稿を通じ、戦時中の侵略をめぐる責任を問われた小泉氏は、明確な答えを示さないまま、議論を中国の「軍事的透明性の欠如」へとすり替えた、と論じた。
同局は、5月31日の演説にも独自の視点を持ち込む。小泉氏はいわゆる「自由で開かれたインド太平洋」の改訂版を打ち出し、地域の防衛で日本が「新たな役割」を担うと宣言した。同局はそれを、あくまで日本の防衛面での役割の拡大を前面に押し出す文脈で報じたのだ。
中国共産党系のグローバル・タイムズは、軍事専門家の張軍社氏にコメントを頼った。「日本はアジアの被害者にいつ謝罪するのか?」と見出しを打った同記事で張氏は、日本が謝罪を拒み深い反省を欠いてきたことがアジア諸国の人々を怒らせてきたとの見解を表明。近年では目立って軍事力を増強しており、軍国主義が復活するのではないかと近隣諸国は脅威を感じている、と主張した。
だが、こうして日本が逃げたと報じたのは、中国国営メディアにほぼ限られる。国際的には孤立した論調となっており、小泉氏の発言が中国の急所を突いたことを、かえって浮き彫りにしている。

