鮮烈な対中姿勢を好意的に報道
切り返しの手腕を、より大きく扱ったのがAP通信だ。小泉氏が「中国がそう非難するとは皮肉だと一蹴した(scoffed at that accusation as ironic, coming from China)」と表現。核兵器も戦略爆撃機も大量に抱える当の中国が、よりによってそのどちらも持たない日本を「軍国主義」と呼ぶとはいかに、というわけだ。
米ニューズウィークの伝えぶりでは、小泉氏の毅然とした構えがさらに際立つ。同誌は、小泉氏が中国の「新型軍国主義」という非難を「軽くいなした(shrugged off)」と報じた。
さらに記事は、中国自身の国防予算(2026年で公称2800億ドル、米国に次ぐ世界第2位)と、その軍拡の意図の不透明さへ話を転じる際、小泉氏は「歯に衣着せなかった(did not mince words)」と評している。守勢に終始することなく、相手の実情へ照準を合わせ直す。その鮮やかな転換を、同誌は的確に捉えた。
ほか、多くのメディアが日本側の鮮烈な対中姿勢を取りあげている。米国防専門のブレーキング・ディフェンスは、小泉氏が中国の非難を「はねつけた(rebuffs)」「押し返した(pushed back)」と報じる。
AFP通信に至っては、見出しで「日本の防衛トップが安保会議で中国に一撃(Japan defense chief takes swipe at China at security meet)」と掲げ、本文でも小泉氏が中国の批判に「反撃した(hit back)」と伝えた。
小泉大臣に「歴史カード」は通用しなかった
そもそも、中国が質疑で突きつけた批判はある一つの前提に立ったものだ。「日本はアジアの被害国に謝罪していない」との主張だが、はたして事実なのか。
英BBCは、戦時中の行為に関する謝罪の有無は長年、日中関係の火種であったと言及。そのうえで同局が指摘するのは、ほかならぬ小泉氏の父・小泉純一郎元首相が、首相在任中に複数回、謝罪を重ねてきたという経緯である。
とりわけ2005年、ジャカルタで開かれたアジア・アフリカ首脳会議で、純一郎氏は植民地支配と侵略が「多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えた」と認めた。
米NBCニュースなど海外でも報じられているように、小泉純一郎氏は「痛切な反省」と「心からのお詫び」を表明している。沈氏がシャングリラ会合で槍玉に挙げた「謝罪していない」という前提は、ここですでに崩れている。
そして、アジアの国からは、日本の立場を援護するかのように、中国側の前提のほころびを鋭く突く発言が飛び出した。中国がまさに「被害国」として連帯を呼びかけた相手の一つ、フィリピンである。

