主役は「施設」から「街」へ移った
なぜ、若者は恵比寿の街には集まるのに、恵比寿ガーデンプレイスにはあまり集まらないのか。
答えはシンプルである。若者にとって、恵比寿ガーデンプレイスに行くことが目的になる必要がなくなったからだ。1994年の開業当時、高級レストランや百貨店など、ここにしかないおしゃれな空間があった。しかし現在、おしゃれな飲食店や感度の高いショップは、駅前にも路地裏にも広がっている。恵比寿横丁のように、若者が気軽に集まれる飲食街もある。
一方、恵比寿ガーデンプレイスは、いまや住民の生活拠点として機能している。広い広場、犬や子どもを連れて歩ける動線、地下のスーパーマーケットなど、若者が「映え」を求めて街を歩くのとは異なる別の魅力が詰まっている。同じ恵比寿駅から徒歩圏内で街と施設が違う顔を見せているのは、それぞれが違う層が求めているものを満たしているからだ。
恵比寿ガーデンプレイスがいま若者であふれる場所ではないことは、施設の失敗を意味しない。むしろ、恵比寿の街全体が成熟した結果である。2025年にサッポロホールディングスは不動産事業を売却することを決定した。1994年から「複合都市のパイオニア」として始まった平成の大事業は、施設の中身も所有者も入れ替わって、ひとつの時代を終えたのである。

