オシャレさと下町感が混在している
恵比寿ガーデンプレイスは、商業施設であると同時に、街を「工場街」から「洗練された住宅地・商業地」へと書き換えるための再開発事業だったのである。ただし、開業当初は華やかな商業要素が目立ち、「都市」として設計されたガーデンプレイスの全体像は、まだ前面には現れていなかった。
もっとも、恵比寿のイメージは、恵比寿ガーデンプレイス一つで変わったわけではない。
1997年には、駅直結のアトレ恵比寿が開業した。駅ビルにファッション、雑貨、飲食店がそろったうえに、駅前にも感度の高いセレクトショップやカフェ、路地裏の個性的な飲食店が広がっていく。
人々は恵比寿駅を降りた時点で「おしゃれな街」という印象を持ちやすくなり、とくに若い世代にとっては、駅前そのものが目的地になっていった。駅から恵比寿ガーデンプレイスへ向かう動線も整い、駅前と施設のあいだに連続性が生まれた。
さらに2008年、駅前に「恵比寿横丁」が開業する。興味深いのは、その場所が、1988年に『Hanako』が「恵比寿のアメ横」と呼んだ市場の跡地だったことだ。かつての下町的な要素は、再開発で完全に消えたわけではない。むしろ、昭和レトロを演出する飲食街として、若者が楽しめる形に組み替えられた。
こうして恵比寿には、複数の魅力が層になって重なった。恵比寿ガーデンプレイスが洗練された都市イメージをつくり、アトレや路面店がそれを駅前へ広げ、恵比寿横丁が下町的な飲食文化を若い世代向けに提供する。現在の恵比寿が「大人っぽいが、気取りすぎない街」として受け止められているのは、この複数の層があるからだろう。
かつては「ランキング圏外」の街だった
街の変化は、外部からの評価にも明確に表れている。
リクルートのSUUMO住みたい街ランキングで、恵比寿は2010年の調査開始当初は7位にランクインしているが、2012年には圏外に、2013年に一気に2位へジャンプアップしている。
初回調査で7位となった2010年には「最先端なのに庶民的。多面性が魅力の街」と紹介されていたが、2位になった2013年には「住むだけでステータスになる街」と紹介されており、下記のようなアンケート回答者の声からも、街としての“格”があがったことがうかがえる。
◆ここに住んだら絶対かっこいい! みんなに自慢できる。セレブだと思う。(女性33歳/ファミリー)
◆ファッションや流行の発信場所というか、おしゃれな街という印象があって、買い物や食べる場所に困らなさそう(男性44歳/ファミリー)
◆都会ながら落ち着いた高級な雰囲気の街で、ステータスがある。おしゃれな感じ。自慢できる街。(女性44歳/ファミリー)
出所=住みたい街ランキング 2013年 関東版より
2016年には調査開始以来初めて1位を獲得する。その後2021年まで2位を保ち、2022年に4位へ下がってからは5年連続で4位に踏みとどまっている。



