ベンチプレスは肩を壊す可能性も
肩の健康のためにはインナーマッスルの強化
健康のための筋トレが関節を壊すことがあります。肩関節外来で肩の痛みを訴える原因で多いのが筋トレ、特にベンチプレスです。
筋肉量は多くの研究で「健康寿命」にも「寿命」にも関連があるとされ、鍛えること自体は大切です。ただし、人体で特に大きな筋肉は下半身と体幹にあり、肩周りの大胸筋や三角筋の比率は大きくありません。肩周りを鍛える必要性は健康においては低いのです。
2023年の論文では、筋トレに関連した傷害や障害の最大36%(つまり約3分の1)が肩複合部で発生し、特に多いのがベンチプレスでの肩鎖関節の問題です。鎖骨の先端が溶ける「鎖骨遠位端融解症」はベンチプレスの強度、頻度、継続年数が増えるほどリスクが高まることが分かっています。
他にも、ベンチプレスやショルダープレスなど肩の筋トレが原因と考えられる腱板断裂の報告もあります。
この肩周りの筋トレは、インナーマッスルとアウターマッスルのバランスを崩し、肩を壊す可能性があります。一方で、肩のインナーマッスルを鍛える筋トレ(チューブを使用するものや、「うちわあおぎ」のような小さな負荷で行うエクササイズ)は、肩の健康にプラスになり得ると考えております。
もちろん、見栄えやトレーニングの楽しさがあることを否定はしませんが、リスクを知ったうえでやってください。
整形外科医が教える「3大やっとけ」
では、体の健康のためにどのようなことに取り組んでおいたらよいのでしょうか。3つ紹介します。
①閉経前後からの骨粗鬆症対策
特に閉経後の女性は骨密度が急激に下がります。この状態でつまずいて転んでしまい、大腿骨近位部骨折(脚の付け根の骨折)を起こすと、1年後の死亡率は13.9%、歩行自立を維持できるのが半数以下という報告があります。
この1年死亡率は乳がんや前立腺がんよりも大幅に高いのです。骨密度をしっかりと測定し、整形外科を定期的に受診しましょう。

