「食べる」だけでなく「体験」としての価値
こうした“海外版寿司のギャップ”こそが、「本当の寿司を日本で食べたい」という外国人の動機を強めている要因なのでしょう。
例えば、農林中央金庫の「訪日外国人からみた日本の“食”に関する調査」によれば、また日本に行ったら何が食べたいかの問いで「寿司」が58.7%と唯一過半数を超え、トップになっています。
海外展開が進んだとはいえ、その地でのクオリティが完全に日本水準に追いついていないという認識が、逆に“本場体験”としての日本訪問を牽引しているとも言えます。
言い換えれば、寿司ビジネスにおいては「海外需要がある」というだけでなく、「海外での体験価値のギャップ」が日本での消費を促進するという構造が成立しています。
わかりやすく整理すると、外国人は、魚の鮮度、魚種の多様性、職人の技、カウンターの雰囲気、といった「日本ならでは」の要素を求める欲求が強いのです。
これは、単に「旅行中に寿司を食べたい」という軽い動機以上に、「寿司という文化、技術を体験したい」という深層的なニーズを生んでいます。
こうしたニーズの構造を踏まえ、寿司ビジネスを展開する側は、海外展開だけでなく「日本での本格体験」という軸を強化するという視点も重要です。
魚介類消費の世界的拡大、和食文化の国際化、ヘルシー志向の浸透、そして海外で食べるSushiとのギャップ……これらが複合して、「なぜ外国人は日本で寿司を食べたがるのか」の答えを形づくっているといえるでしょう。


