汁なし麻辣坦
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5代目店主・齊藤玲央さんの看板メニューは「汁なし麻辣坦」。好みの具材をトッピングでき、痺れる辛さが特徴の一杯だ(写真:近畿大学提供)

オリジナルメニューの「汁なし麻辣坦」も加えて学生スタッフとともに学内の店舗を切り盛りする一方、4月末からの2週間は故郷である愛知県のフードフェスに出店。さらに、タイのショッピングモール内でポップアップの店舗を立ち上げるべく、準備を進めている。

「1年目で海外に出店するなんて、店の利益だけを考えたら普通はあり得ない。それでも、今後の経験のためにあえて挑戦しています。学内の店舗の家賃が大学負担であることなど、挑戦しやすい環境をつくっていただいているのはありがたいです」(同)

大学側の支援も充実

店主就任にあたって、自ら代表取締役を務める株式会社ACTIONA(アクショナ)も立ち上げた。フードフェスへの出店など、外部との交渉では学生扱いはしてもらえない。「学園祭気分でやっているんじゃないかとよく言われるので、信用を得るためにも会社を設立した」という。

法人設立にあたっては、近畿大学が22年から提供する近畿大学発ベンチャー起業支援プログラム「KINCUBA(キンキュバ)」を活用。経営者であるメンターを前に事業計画をアピールし、30万円の法人設立資金を獲得した。

「KINCUBA」は、起業を目指す学生や研究者のための支援プログラムで、ビジネスプランの立案から法人設立までを一貫してサポートする。メンターによる指導やビジネスプランコンテストの実施、24時間利用可能なコワーキングスペースの提供など、さまざまな支援が充実している。「近大をすすらんか。」もその一環だ。これまでに誕生した近畿大学発学生ベンチャー企業は200社以上にのぼる。近畿大学経営戦略本部起業推進室の中村菜摘さんはこう語る。

「大学による起業家支援というと研究分野のイメージが強いかもしれませんが、近畿大学では飲食店やSNS関連など、自分の興味のある分野でスモールビジネスを始める学生の支援にも力を入れています。起業に興味はあっても具体的なプランがない『起業憧れ層』も歓迎で、フードビジネスの体験講座など、様々なプログラムを用意しています」

齊藤さんも1年生の頃からKINCUBA Basecampを利用。「近大をすすらんか。」の初代店主と交流を持つなど、学内の「起業家コミュニティー」と早くから接していた。

「学生が『起業したい』と言い出したら、世間では『大丈夫か』と不安視される面がまだまだあると思います。KINCUBA Basecampには起業家志向を持つ学生が集まっているので話が合うし、先輩にも相談に乗ってもらえる。こんな環境はなかなかない」(齊藤さん)

大学でありながら、もはや起業家育成の「虎の穴」。若さと熱気が伝播する環境からどんなビジネスが生み出されていくのか、楽しみだ。

(ライター・小泉耕平)

当記事は「AERA DIGITAL」からの転載記事です。AERA DIGITALは『AERA』『週刊朝日』に掲載された話題を、分かりやすくまとめた記事をメインコンテンツにしています。元記事はこちら
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