なぜ「切実な声」を無視するのか

内訳はフルタイム共働き3割、パートタイム共働き4割、専業主婦3割というものです。そしてフルタイム共働き3割は1980年代から一貫して変わっていません。

むしろ、パートで働きに出ないと家計が回らないという苦しい経済環境を示しているのであって、「時代は共働き・共育て」などと悠長なことを言っている場合ではないはずです。

もちろん、これには政府側の思惑があるのでしょう。第3号被保険者制度や被扶養制度を縮小し、国民全員に働いて納税していただく方向です。しかし、個々の家庭にはそれぞれ事情があり、働きたくても不可能な場合もあります。子が小さいうちは働かず、子との時間を大切にしたいという人もいるでしょう。

そうした多様な声を無視して、「共働き・共育て」および、保育園やベビーシッターなど「子育ての外部化」を一様に推奨する様は、前述した論文のように、「国が金を出して子育て支援するので両親は働いて」と言っているかのようです。

善意の道は、地獄に向かう

子どもを「国家が買う商品」と化し、それぞれの夫婦が築き上げるはずの「温かい家族」そのものを壊す。夫婦が、労働も家事育児も同じ個人の義務を果たすことだけを是として、本来夫婦が互いの足りない点を補い合う共同体的互恵関係を崩壊させる。

家族や夫婦を壊した先にあるのは、自立ではなく「孤立した個人」だけです。そんな状態の結婚や家族を今後の若者は作りたいと思えるでしょうか。その上、支援はタダではないので、税・社保料負担は増大し、結果ますます若者は結婚できなくなる。何もかもが「結婚と家族と夫婦を滅亡させる」方向へと向かっていると言えます。

子育て支援も子ども福祉も誰も否定はしない善意の道です。しかし、そうした善意らしきものによる政策とは、家族そのものを消滅させ、子どもがいなくなるという地獄の道の舗装をしているのではないでしょうか。

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