こども家庭庁「解体論」が叫ばれるワケ
この論文は日本で「見習え」と言われ続けてきた北欧・ノルウェーの研究者によるものですが、手厚い福祉国家の論理的帰結がこれだとしたら、もはや「見習う」べきものなのでしょうか。
しかし、これを他人事といえない雰囲気が日本にもあります。深刻な少子化とは、同時に家族が減ることを意味しますが、日本ではすでに「児童のいる家族」という形態は激減しています。
国民生活基礎調査より、1975年から2024年までの推移を見ると、世帯数は1743万世帯から907万世帯へと48%減。全体の世帯に占める割合は、53.0%から16.6%へと69%減です。
そして、今後もこの傾向は加速します。なぜなら、日本の少子化対策は新たな子を生み出すものでも、その前提となる婚姻を増やすものでもなく、生まれてきた子に対する子育て支援策ばかりだからです。子育て支援では出生も婚姻も増えないことは、すでにご説明した通りです。
先頃、「こども家庭庁解体論」がネットで話題になりました。そのきっかけとなった三原じゅん子前大臣の発言も、それを象徴するものでした。
予算3倍増でも、出生数は3割減の現実
三原氏は「こども家庭庁は少子化対策だけをやっているわけではない」と繰り返し、子育て支援の実績を並べ立てました。確かに同庁は子育て支援はやっています。が、お言葉を返せば「子育て支援だけをやっていればいいというものでない」わけです。法律の規定により、少子化対策は同庁の目的であるにもかかわらず、出生増どころか毎年のように過去最低を更新中です。
国民が問題視しているのは「何をやったか」ではなく「何の成果をあげたのか」のほうであり、そこをウヤムヤにするから炎上するのでしょう。
もちろん、これは三原氏やこども家庭庁だけの責任でもありません。そもそも、2007年少子化担当大臣が設置されて以降も、終始子育て支援一辺倒で、予算自体は2007年から3倍増になったのに出生数は逆に3割減になったという事実があります。
また、政府も自治体も「共働き・共育て」をやたらと推奨します。すでに共働き世帯は専業主婦世帯の2倍以上に増加している点だけを強調しますが、これは実態を正確に表してはいません。

