日本の少子化はどうすれば止まるのか。独身研究家の荒川和久さんは「英国の学術誌『Politics and the Life Sciences(政治と生命科学)』に今年掲載された論文が参考になる。ここで書かれた最悪のシナリオは、日本の子育て支援との類似性が高い」という――。
世界で実証された「残酷なパラドックス」
子育て支援政策は少子化対策にはならない――。
これは近年、欧米諸国の少子化の専門家が口を揃えて言い出していることです。欧州諸国は、子育て支援政策に関する予算(家族関係政府支出GDP比)が高い傾向にあります。かつては「日本の出生率が低いのは、それらの予算がフランスや北欧などに比べて低いからだ。予算を増やせば出生率は改善する」という主張が、まことしやかに語られていました。
しかし、現在ではそうした声は、すっかり鳴りを潜めています。なぜなら、子育て支援政策では出生率は改善されないことが世界的にも実証されているからです。
OECD統計に基づき、出生率(TFR)と予算GDP比との長期推移を各国比較したものが以下のグラフです(図表1)。
フランス、スウェーデン、フィンランドなどは予算比3.5%前後と高いレベルで一定していますが、出生率は軒並み低下しています。日本、韓国は、予算こそ増えていますが、むしろ増やせば増やすほど出生率は低下しています。米国は予算の割合そのものは日韓より低いですが、だからといって出生率が低いわけではありません。
ここからもわかる通り、予算を増やそうが、予算の割合が低かろうが、高いレベルでキープしようが、出生率は低下しており、予算と出生率の間に明確な正の相関は見られません。
私は、以前から「少子化ではなく少母化」であり、第一子出生率を上げない限り、少子化は改善できないと言い続けてきました。
第一子の出生率をあげるとは、日本など東アジア圏でいえば婚姻数を増やすことに尽きます。そもそも婚姻が成立しなければ第一子は生まれてこないからです。そして、最近では、欧州でも「カップルが成立しなければ少子化は止まらない」と言われ始めています。


