16年ぶり2度目の「外為法」適用

ロイター通信は、牧野フライス製作所の工作機械は高精度部品の製造に使われると説明。軍事転用のおそれから、経済産業省の輸出許可なしには国外に持ち出せないと解説する。

工作機械産業は、外為法で定められた安全保障上の「中核分野」にあたる。経済産業省は買収阻止の勧告について、安全保障に関わる技術・情報の漏洩リスクを踏まえた判断だと説明する。

政府が外為法に基づいて買収阻止の勧告を発動したのは、2008年に英投資ファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)が電力会社の電源開発(Jパワー)の追加株式取得を申請した案件以来だ。

2025年10月22日、記者会見を行う片山さつき財務大臣
2025年10月22日、記者会見を行う片山さつき財務大臣(写真=財務省/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

大和総研の金本悠希主任研究員はブルームバーグの取材に対し、地政学的緊張の高まりを背景として、買収審査は厳格化する可能性が高いと指摘する。

牧野フライスが達成した2つの「日本初」

政府が守ろうとした牧野フライス製作所。その強さの原点に、共に「国産第1号」となった2つの技術がある。

フライス盤は、工具を回転させて金属を削る工作機械だ。社名の由来でもある。同社は1937年に創業し、1958年にはプログラムで工具の動きを自動制御するNC(数値制御)フライス盤を開発した。国産第1号機である。

続いて、工具を自動で交換しながら複数の加工工程を1台でこなす、「マシニングセンタ」を世に送り出した。これも国産初だった。

同社が実現する精密な加工精度は、事業の強みの一つだ。矢澤孝二総務部ゼネラルマネージャーは、正社員専門転職エージェントのエリートネットワークのインタビューで、「一貫して加工物の精度、工作機械の品質に重きを置いて事業に取り組んできました」と語る。

小さいものでは携帯電話カメラ用レンズの金型などでは、求められる精度は1000分の1ミリ未満。いわゆる「サブミクロン」の世界だ。大きなものでは航空機の部品まで手がける。軽量かつ高剛性の合金や炭素繊維といった新たな素材の加工にも、いち早く対応する。

顧客との対話は製品の企画段階から始まると矢澤孝二氏は強調する。「新しいエンジンの自動車を出したい」「こういった材料で航空機のジェットエンジンの部品を作りたい」といった相談に応じ、同社の技術リソースを活かして新たな加工技術を開発するケースもあるという。

完成した機械を納めて終わる関係ではなく、常に最新の素材や顧客の要望に向き合っている。