盗まれかけた日本の技術
だが、精密な工作機械の製造は容易でない。
中国企業は繰り返し海外から技術を取り込もうとしたが、海外各社も中核技術の流出には敏感だ。幾度もの挫折を経験することになる。
1996年、SMTCLは米コネチカット州ブリッジポート社のCNC(コンピュータ数値制御)技術を導入しようと、1億元(約23億円。5月25日現在のレート、1元23.38円で換算、以下同)超を注ぎ込んだ。
だが、大金で技術を購入した末に届いたのは、肝心の動作原理を伏せたソースコード(プログラム)のデータだけだった。それを基に組み上げた機械は使い物にならなかったと、中国テック起業家向けメディアの36Krは伝える。
3年後、今度は遼寧省大連市に本社を構える大連光洋科技集団が、日本から工作機械を輸入。この際は、設置場所と用途を縛る条件に加え、無断で移動させれば自動ロックがかかり使用不能となる仕掛けまで組み込まれていた。
5軸連動技術を持つのは、いまなお一握り
アメリカと日本から相次いで技術のコピーに失敗した中国は、ドイツに狙いを定める。2005年、SMTCLはドイツのシース社を買収した。だが、5軸以上の工作機械技術はそもそも中国への輸出が禁じられていた。会社を買ったまでは良かったが、技術は中国に移転できない結果となった。
このように、買収によっても、輸入によっても、いずれにせよ核心技術は手に入らない。西側が中国に輸出を許すのは、常に1〜2世代前の旧式品に限られる、と中国テック財経メディアのTMTポストは指摘する。
中国の工作機械メーカーは、やむなく性能の劣る旧製品を輸入。マシンの世代が進むごとに、世代の古い旧型を輸入し直すサイクルに囚われた。
とくに高級工作機械の代名詞とも呼ばれる5軸マシニングセンタは、壁が別格だ。5つの軸を同時に精密制御しなければならず、回転テーブルや傾斜ヘッドのわずかな狂いも許されない。真の5軸連動技術を持つのは、いまなお一握りの国際的大手企業だけだと同紙は指摘する。

