「北欧諸国が不正をしている」疑惑

アクセシビリティ対応が充実している北欧だからこそ起こった事件もある。

「PISAの受験者の除外率が高すぎる」と物議をかもしたのである。

先述したように、PISAとは、OECD加盟国の15歳を対象とした学習到達度調査である。数学、科学、読解の3領域のリテラシーを2000年から3年ごとにテストし、国際比較を行っている。

このPISAの成績を上げるために、成績の悪い生徒を調査から外すという操作が行われる可能性もあるが、それを避けるために一定のルールが設けられている。

OECDが定めるPISAの基準では、学校レベルおよび生徒レベルの除外率の合計は「全対象人口の5%以下」であるべきとされている。

しかし2022年の調査では、デンマークが11.6%、スウェーデンが7.4%、ノルウェーが7.3%と北欧諸国の多くが基準以上の除外率となっている。これが一部の国から「ランキング上昇を目的とした不正な除外ではないか」と疑惑を向けられた。

「マークシートなら高得点」という人もいる

なぜ北欧の除外率は高かったのか。

PISAのテスト環境では、北欧諸国のテストでは、読み書きがむずかしい生徒のためにあたりまえに用いられている読み上げソフトなどのツールの使用が認められなかったからだ。

そのため学校側がPISAを「受検不可能」と判断して多くの生徒を除外したとされている。読み上げが使えなければ「本来の能力」を発揮できない生徒が受験するのは不当だと考えたわけだ。

ちなみに先に挙げた私の知り合いのマンガ編集者は「漢字が書けないせいで高校まで自分のことをバカだと思っていたが、マークシートの比率が多い大学入試の模試を受けたら意外と成績が良くて『あれ?』と感じた」と語っていた。

このように、漢字を手書きできなくてもマークシートなら、あるいはデジタルツールを使ってキーボードやフリップ入力できる環境なら、好成績を取れるという人もいる。

マークシート
写真=iStock.com/Tatomm
「マークシートなら高得点」という人もいる(※写真はイメージです)