過剰な敬語は避けるべきなのか。心理カウンセラーの五百田達成さんは「ビジネスのやりとりでもっとも大事なのは、情報を正確に伝えることだ。たくさんの敬語を使うことでかえってわかりにくくなる場合がある」という――。

※本稿は、五百田達成『言いたいことがちゃんと伝わる 男と女の言い換え図鑑』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

働くアジア人女性
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「私、そういう器ではないので」

【シチュエーション】昇進を勧めたい
× 君ならもっとできるはず
○ ぜひ君にやってほしい

男性は「肩書き」を与えると、俄然やる気を出しがちです。

以前、あるイベントの手伝いをしたときのこと。現場には、地元中学の男女が数名、ボランティアで集まっていました。周囲に気を配りながらテキパキ動く女子と、何をしていいのかわからずボケーッとしている男子。しまいにはほうきで遊びだし、戦力としての差は歴然。

そこで、ある男子に「君は今から受付係のリーダーです。これからたくさんの人がやって来るから、責任を持って案内してください」と依頼すると、さっきまでの「まったく役に立たない人」が一転、キビキビと動き始めたのです。

中学生男子でも肩書きを与えれば、人が変わったように張り切る。大人の男性ならなおさらです(「夫に家事をやってもらうには、その家事の大臣に任命するといい」というテクニックがひところ流行りましたが、これも男性の「肩書き欲」を刺激する狙いでした)。

一方、女性は男性のように肩書きにはこだわらないことが多いようです。上司から「次のプロジェクトのリーダーは君に任せたい」と言われても、「いいえ、結構です。私、そういう器ではないので」と、後ろ向きだったりします。

管理職になるのを嫌がる女性の背景

女性社員が管理職になりたがらない。

これは多くの企業で課題とされていることです。横社会の調和を重んじる女性は、「抜きん出ること」や「目立つこと」を避けようとしがちです。女性たちにとって大事なことは、みんなと仲良く働くこと。自分がリーダーになれば、「○○さんは、もう私たちとは違う立場だから」と距離を置かれるだろうし、今まで仲間だと思っていた人たちに指示を出すことにも抵抗がある。一方、男性からは「女のクセに」と妬まれそうで、めんどくさい。

さらに、責任や労働時間が増えれば、プライベートにも影響が出ます。今でさえ、仕事とプライベートの両立に四苦八苦しているのに、これ以上自分や家族に負荷をかけたくない。つまり、メリットがまったく感じられないのです。そんな状況で、「もっと上を目指せ」とハッパをかけられても、男性のように無邪気に喜べません。

そんな女性たちに心を開いてもらうには、別のアプローチを考える必要があります。「リーダーとして引っ張ってほしい」ではなく、たとえば「チームのみんなが気持ちよく仕事ができるように、働きやすい環境を整えてほしい」と打診してみる。そうすれば、「そういうことでしたら」と、承諾してくれる可能性も。

あるいは「I(アイ)話法」を登場させて、「頼みます。あなたにやってほしいのです」という説得も有効。あなたの仕事ぶりをこれまでずっと見てきた。あなたならできると思うし、あなたしかいない。女性なら誰でもいいわけじゃない。あなたにこそ、ぜひやってほしい。助けると思ってやってほしい。こう口説くのです。

肩書きならなんでも飛びつく男性と、総合的に判断しようとする女性とでは、昇進の打診もやり方を変えるべき、ということです。

【まとめ】「あなたしかいない」と説得する