「退職金も消えてしまった」

それでも「不安だ」という。一体なぜなのか。

「もともとお金に執着はなく、老後のことなんて心配してもしょうがないと考え、無駄遣いばかりしていました。転職先を探すのに1年ぐらいのブランクがあり、残っていた蓄えもその間の生活費や、2人の子供の教育投資に消えました。退職金ですか? 10年も勤務すると外資系でも企業年金を含むそこそこの退職金をもらいましたが、すべて一時金でもらっていましたし、これも全部消えてしまいました」

鈴木さんは40代で都内に一戸建てのマイホームを購入。ローンは残っていないが、64歳のときに貯金から1000万円以上費やしてリフォームした。65歳のときにその家を息子夫婦に月10万円で貸し、月15万円の都内のマンションに夫婦二人で暮らしているという。

「年金は、今は妻の分(国民年金月約7万円)だけ受給しています(本人分を含めると将来は夫婦で月25万円受給予定)。家賃以外に車の駐車場代が月に2万円。そのほか食費や娯楽費、生命保険料や雑費を加えると年金だけではとても暮らせません。とにかく働くしかありません」

今の仕事は月収100万円といっても所得税や社会保険料などを引かれると手取りは70万円弱。それでも他の高齢者世帯より所得は多いが、もともと支出額の多い鈴木家としては心もとないのだろう。また、契約が終了すると、次の仕事先を探すまでの生活費に回す必要があり、さすがに以前のように自由には使えない面もある。

75歳まで月30万円は確実にほしい

また、徐々に仕事も減っている。

「今の仕事は国内がメインですが、全国の営業所や工場のある拠点に出張し、リーダーシップ研修の講師などをしています。さすがに体力的にもきついですが、何より今の仕事を続けるには年齢の壁がありますし、あと2年もすれば雇ってくれるところはないと思っています」

鈴木さんは「これから病気などの健康面のことを考えると貯金もしなくてはいけません。今の月収より下がってもよいので、できれば75歳まで月30万円確実にもらえる仕事があれば」と強く願っている。

鈴木さんと同じようにアラ古希世代は、高血圧症、糖尿病をはじめ何らかの持病を抱えている人が多く、健康面の不安も大きい。

前出の調査によると、「働くことに関して健康面で不安を感じている」人は「とても感じている」(15.2%)、「やや感じている」(42.4%)。計57.6%が不安に感じている。

平均寿命が延びることは結構だが、それだけ長く生きるには健康の維持と生活していくためのお金も必要になる。アラ古希世代には、“働けどわが暮らし楽にならざる”状況の人も少なくない。

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