「国民の人気」が皇室を破壊する
もし、彼らにとって「愛子天皇」が、皇室の持続性を担保するため、というより、皇室を制度的に変質させ、最終的には形骸化させて廃止へと導くための「手段」として利用しようとする“意図”を併せ持っていればどうか。万が一でもこのような可能性を帯びていれば、これは大きなリスクとなり得る。
「男系という『絶対に揺るがない正統性の根拠』を否定し、天皇の資格要件を『国民の人気』という不安定な土俵に引きずり下ろし、次の天皇の子供を批判したり、今度は『女系は正当ではない』と手のひらを返せば、将来的に皇室制度の廃止世論を騒ぎ立てることが容易になります。
そもそも、適齢で正当な継承権のある悠仁親王の継承を否定して、ルール変更を議論すること自体が、本来は不要であり、不敬にもつながるのではないでしょうか」
真に将来的な皇位継承者不足に備えるのであれば、ルールの変更ではなく、男系皇族の確保という実務的な解決策を講じるべきだろう。現在、政府内では戦後に皇籍を離脱した旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎え入れる案が有力視されており、先方の“感触”を得ているという報道もある(参照:週刊新潮 2023年3月16日号)。
男系皇族を確保するための「現実的な解決策」を
一方で、候補に挙がる旧宮家はいずれも室町時代の崇光天皇の子、栄仁親王を祖としており、600年前に分岐した男系子孫で、やはり遠い。歴代天皇家と違い、大昔の宮家の確実性の高い裏付けに関しては疑問視する識者もいる。そこで浮上するのが「皇別摂家」と言われる男系子孫の選択肢だ。これは、江戸時代の後陽成天皇や東山天皇の子孫が、五摂家(近衛家、一条家など)に養子入りした家系だ。
河野太郎衆院議員もブログで言及しているこの男系子孫は、旧宮家より数百年程度ではあるが現在の皇室に血筋が近く、必然的に系譜的資料が新しい。こうした歴史の中にある「皇統の守り手」に光を当てる議論こそ重要ではないか。
合理性や安定性を超えた皇位継承の積み重ね、薄氷を渡るような不安定な継承ルールで再現性が困難で過酷な血の継承。これを守り抜いてきた天皇家であるからこそ国民は畏怖を感じ、その人柄に敬愛を見出してきた。愛子内親王は確かにすばらしい資質を持ち、国民に馴染みの深い天皇陛下の長子である。しかし、激動の時代を潜り抜けて、今の形の皇室をもたらしてきた継承ルールを覆すような選択は、拙速であり賢明とは言えない。

