直系の長子優先に潜む「致命的な問題点」
「直系の長子」という理由にルールを変更した場合はどうなるか。もちろん、直系の長子優先の相続は、継承が安定的となり、皇族に子が生まれる限り後継者不足の問題は解消される。しかし「安定」の裏には致命的なリスクがそのトレードオフとして潜んでいる。
「長子相続、特に女系を容認するシステムとなれば、近世以前では、天皇の『配偶者の家系(外戚)』が絶大な権力を持つことになる危惧がありました。実際、藤原氏や平清盛など、外戚が権勢をふるった例はあります。しかし、男系の血筋が天皇の根拠であったため、いずれも権力者の影響力は娘が天皇家に嫁いだ代に留まりました。男系を守るということは、天皇を、権力者など『特定の誰かの身内にしておくこと』を維持させないための知恵でもあったのです」(施教授)
「外戚」に似た問題は、権力と切り離された現代の皇室においても形を変えてリスクとなりうる。施教授が続ける。
「男系継承を天皇の根拠として維持する限り、結婚相手は『男系を残すための手段』という位置付けですが、天皇に男系という絶対の根拠がなくなれば、天皇の結婚相手の特徴、属性、背景が『次の世代の天皇そのもの』を形成する決定的な因子の一つとなります。女系や直系の容認となれば、結婚相手こそが『天皇の血筋を供給する主体』へと格上げされることになるからです」
「小室夫妻バッシング」と同じ轍を踏むのか
もし配偶者の家族にスキャンダルや問題があれば、それは即座に「天皇の正統性」への疑念に直結する。眞子元内親王と小室圭さんの結婚をめぐる国民的な混乱を見れば、このリスクがいかに現実的であるかは想像に難くない。男系という絶対的な天皇の成立根拠を失った皇室制度は、国民の気まぐれな品定めという荒波に常に晒され続けることになってしまうのだ。
「しかも、愛子さまが将来的に天皇になる可能性が生まれると、結婚、懐妊、子供が生まれた時、国民的議論に巻き込まれる。結婚相手は誰にすべきか。懐妊の時に皇室に残すべきか。常に国民が割れる環境を作り出してしまいます。これは皇室の安定性という点では大いに疑問であり、愛子さま自身のご心痛という点に鑑みても望ましくないでしょう。
また、杞憂かもしれませんが、もし、女系や直系継承が認められた後、お相手候補に外国や宗教勢力などと関係がある人物が接近したらどうなるかという問題もあります。配偶者の存在感や重要性が増す女系や直系継承の環境下では、外交や安全保障上の問題に発展しかねません。
例えば、その国の君主の権威を低下させることで、国民的な一体感を弱体化させたいなど、国際社会に不適切な動機やリスクが存在しないとは言い切れないのです」

