葬儀や法事に「派遣される僧侶」がいることをご存じだろうか。住職・松谷真純さんは「檀家離れで収入が減った住職が行き着く仕事だ。お布施の半分以上が手数料として派遣元に消える事実を、ほとんどの人が知らない」という。派遣僧侶となった自身の経験を明かす――。

※本稿は、松谷真純『葬式坊主なむなむ日記――檀家壊滅! 還暦すぎて派遣で葬儀に出かけます』(三五館シンシャ)を再編集したものです。

僧侶にお布施を渡すイメージ
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「派遣僧侶」をご存知か

私は東北地方某県に存する東法院とうほういん(仮名)の住職だ。東法院は今から250年ほど前、江戸時代中期に創建された寺院で、先代住職から代替わりしてすでに20年以上が経ち、私は還暦をすぎた。

このように自己紹介をすれば、たいそうな宗教家のように思う人がいるかもしれないが、現在の私は“派遣僧侶”としてどうにか暮らしを立てている。

派遣僧侶とはいったいいかなるものか?

ひと言でいえば、葬儀や法事に「派遣される僧侶」である。派遣する組織は、その紹介で利益を上げる僧侶派遣会社や葬儀社だ。「明朗会計の安心葬儀」といった内容のテレビCMを流す大手から、個人経営の零細まで、じつに多くの僧侶派遣業者が存在している。

派遣の依頼(※1)を受け、現地に赴き、布施を受け取り、導師を務め、経をあげる。

後日、受け取った布施の中から、依頼元の派遣会社に手数料を振り込む。

これが私の日常であり、本書は“派遣僧侶”という一般の方には耳慣れないであろう職業に就いている私の体験を赤裸々につづったものである。

※1 派遣の依頼
たとえば、2025年の1年間に私が請け負った葬儀の派遣仕事でもっとも高額なのが14万円(通夜・葬儀の導師)、いちばん低額なのが3万円(火葬炉前での読経)であった(いずれも手数料をのぞいた手取り額)。なお、昨年は長らく派遣僧侶をしていてもっとも収入の少ない年だった。